正義とは ページ9
伐折羅「いつ帰って来るの？」
姉さん…大丈夫かな？
藕花「いつか帰って来るよ」
姉さんはいつも私の頭を撫でてくれる。とっても安心するけど、なんだかポカポカしない。
藕花「そうだ、このパーカーあげる。黒だけど許してね」
差し出されたのは伐折羅には大きめな丁寧に畳まれた黒いパーカー
「ほぁぁ…!ありがと!!」
軍服に身を纏った姉は、後ろ姿を伐折羅の脳裏に焼き付け行ってしまった。
＿＿＿＿
伐折羅「ゼンセンってなに？」
白「敵に近く、直接戦う場所ですわ」
伐折羅「1番危ない所なの？」
白「…そうなりますわ」
伐折羅は少し悲しむ顔をした。
伐折羅「でも…姉さんは大丈夫だよね」
白「ですわね…。さぁ、勉強しますわよ？」
伐折羅「うん！」
＿＿＿＿
目の前に広がるのは、地獄よりも生々しく、爆薬の臭いが鼻を突き、胃液が口から出そうな程想像を絶するものだった。
ヨミ「すまないね、人手不足なもので」
藕花「…大丈夫です」
本当に来てしまったと今更ながら実感する。
ゲームとは似ても似つかない世界だ
ヨミ「こちら天津隊。天候求む。…了解」
銃弾が飛び交う中、ヨミは漆黒の羽を大きくばたつかせ一気に空へと上昇していった。
インカム越しにヨミの声が響く。
ヨミ「総員 衝撃に備えよ」
藕花「っ!?」
空に大きな魔法陣が浮かび上がる。
聞き慣れない銃声よりも大きな爆発音が衝撃波と共に遅れてやって来た。魔術を使ったのだろう。
だが私もここでへこたれる訳にはいかない。
今までの自分を殺せ。
そして…
正義としての…運慶 藕花を
創り出せ＿
「っ!?…うぁっ」
敵からの実弾が腕に突き刺さる。今までに感じたことの無い痛みと混沌が脳内を支配しようとする。
ヨミ「空部殲滅完了。陸部の援護に回る」
インカム越しの声に少し安心する。だが陸は終わっていない。
堕ちろ…正義が許す限り…堕ちろ
藕花「っ…【阿鼻叫喚】!!」
地獄の印を結んだ＿
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作者名：月夜見 | 作成日時：2017年6月19日 20時
