3 ページ3
.
「え？じゃあ、Aに好きな人が出来たの？」
「おう」
高専の敷地内にあるベンチに座っていた夏油傑は、親友の言葉を聞いて思わず目を見開いた。
「そうか…」
予想外の事態に言葉を失くしている夏油の隣では、家入硝子があまり興味なさそうに煙草をふかしている。
三人の間に珍しく沈黙が流れた。
「…落ち込まないんだね」
しばらくして、ようやく口を開いた夏油がぽつりと言う。
「私はてっきり、悟はAのことが好きだと…」
「…好きだけど？」
「え？」
今度こそ本気で驚いた顔をする夏油。
意味がわからないといった表情だ。
だって、それならどうしてAが別の男を好きになって────失恋して、平然としていられるのだろう？
その疑問を読み取ったのか、五条は少し面倒くさそうに答えた。
「あー…なんつーの、あいつ尋常じゃなく惚れっぽいだけだから」
だからまあ、熱が冷めればほっといても俺のとこに戻ってくるよ。
なんて、さらっととんでもないことを言うものだから、夏油はますます目を丸くしてしまった。
しかしすぐに思い直したようで、納得したように小さく笑う。
初めはどうして傷つかないのかと疑問だったが、なるほど、考えてみれば確かに五条らしいかもしれない。
「Aについては一番分かってるつもりってことでしょ」
それまで黙っていた家入がそう呟き、ちらりと五条を横目に見た。
それに気付いていないはずもないのだが、彼はただ一言だけ返すのみ。
まあな。
それだけ言って、再び口を閉ざした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 346人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
0.5mmの替え芯(プロフ) - ただの本名；只野です。さん» 返信がかなり遅くなってしまいすみません！コメント有難うございます。更新を待っている、応援していると言って頂けるだけで、本当に嬉しくて……これは完結させなければという気持ちになります。長い休載を挟んでしまいましたが、最後までお付き合い頂ければ幸いです！ (10月3日 20時) (
レス) id: 631ae05995 (このIDを非表示/違反報告)
ただの本名；只野です。(プロフ) - 神作品見つけるの専門謙スカポンタンの只野です。気になって軽ーく見てたら最後まで見てました。更新気ー長に待ってまーす。もちろん、応援も添えて (7月31日 10時) (レス) @page11 id: e7ab028975 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：0.5mmの替え芯 | 作成日時：2023年7月8日 10時
