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「…悟、起きて。もう着くよ」



高専が見えてきたところで、Aはようやく五条に声をかけた。



揺り起こされた五条は、まだどこかぼんやりとした表情をしている。



そして、Aの顔を見てから、肩に寄りかかって「あと五分…」と言った。



「駄目だってば。ほら、ちゃんとして」



もう一度声をかけると、今度は渋々といった感じで体を起こし、面倒くさそうに首裏をかいた。



車を停めた補助監督が「…到着です」と告げる。

外はすっかり夕焼け色に染まっていた。



ドアを開けて外に出ると、ひんやりした風が吹き込んできて気持ちが良い。



伸びをして深呼吸をしていたら、隣で自分と同じようにしていた五条と目が合い、Aは慌てて逸らす。



いつもなら絶対にしないであろうその行動に、またもや違和感を覚える。



「何だよ」

「いや………んー……」



やっぱりおかしい。



疲れているのだろうか。

それとも……と考えかけて、すぐにやめる。

頭をぶんぶん振って雑念を払う。



「何でもない。早く戻ろ」



先程まで考えていた事は全部忘れる事にして、五条の隣を歩いた。


───そうして、二人の関係は変化を見せないまま、一ヶ月が経った。





***





ヒグラシが鳴いている。



夕方になると涼しいを通り越して、肌寒く感じるようになってきた。

今年の夏が終わりかけているのだ。



「Aは、もし悟が告白してきたらどうする?」



夏油の言葉に、Aはぽかんと口を開けた。



教室には二人しか居らず、Aは椅子に座って、雑誌を読んでいた。

そこに突然、突拍子もない質問をぶつけられたのである。



ぱたんと音を立ててそれを閉じながら、聞き返す。



「…どういう意味?」



夏油はわざとらしく、特に深い意味はないよ、と笑みを浮かべた。



…怪しい。

けれど、疑ってもどうせはぐらかされるだろうから、それ以上追及する気にもならなかった。



視線を落として、少し黙っていると、さあっと開いた窓から風が吹き込んで、教室の空気を変えた。



その風に背中を押されるように、Aが口を開く。



「……いや、なんかさ。……笑わないで、聞いてほしいんだけど…」

「うん」

「実はさ、最近、ちょっと変なの」

「変って?」

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0.5mmの替え芯(プロフ) - ただの本名;只野です。さん» 返信がかなり遅くなってしまいすみません!コメント有難うございます。更新を待っている、応援していると言って頂けるだけで、本当に嬉しくて……これは完結させなければという気持ちになります。長い休載を挟んでしまいましたが、最後までお付き合い頂ければ幸いです! (10月3日 20時) (レス) id: 631ae05995 (このIDを非表示/違反報告)
ただの本名;只野です。(プロフ) - 神作品見つけるの専門謙スカポンタンの只野です。気になって軽ーく見てたら最後まで見てました。更新気ー長に待ってまーす。もちろん、応援も添えて (7月31日 10時) (レス) @page11 id: e7ab028975 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:0.5mmの替え芯 | 作成日時:2023年7月8日 10時

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