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ここ1ヶ月で1番の大雨の日、僕らはとある古いアパートに来ていた。

「本当なの!!帰りにここを通ってたら本当に人魂が…」
「ンなわけねーだろ?どーせ見間違いだよ!」
「まあまあ、鍵も借りてきたし確かめてみようよ!本当に人魂なのかさ!」

みたところ管理の行き届いていないボロアパートで立地も悪く住居者も居ないためほぼ空き家状態。しかも雨のせいでより一層不気味に見える。

その不気味さもありおっちゃんに直接頼んでいた蘭も腰が引けている様だ。

ま、おっちゃんの言うとうり人魂なんて無いと思うけど…解決しなきゃ蘭のやつずっと不安そうな顔するからな。


「んじゃあその人魂をみたっていう部屋からな。」


おっちゃんが鍵を開ける。


ガチャン…


「ん?」
「ど、どうしたのコナンくん…」
「いや…鍵が開く音と同時に何か音がしなかった?」
「え!?」
「してねぇよ。聞き間違いじゃねーの?」
「ん〜…そうかな…?」


金属の音…?いや、何かを叩く音とか…


「開けるぞ。……やっぱ何もねーじゃねぇか」


そこはパッと見普通の部屋で何も問題は無いように感じた。


「て、てことは…やっぱりあれは人魂だったのかな…?」
「だから見間違いだって」
「でも確かに見たんだって!」

「ねぇ!コレ見てよ」

「これは…ロウか?」

床に垂れたロウ。この1点だけでなく数箇所それが見受けられる。普通に暮らす人が明かりを灯すならロウソクを使うより電気を使う。もし遊びで使うとしてもここまで多くは使わないだろう。

つまり…元より察してはいたが空き家に住み着いている奴がいるらしい。

だが俺らの気配に気がついたのか全ての荷物を持って出たようで部屋の中には何も無い。まてよ?玄関から出る人影は見ていないし、蘭が人魂を見たって言うのは昨日の夜。つまりまとめる時間はあっても抜け出す時間は無いはずだ。


「んじゃあ蘭が見たってのはロウソクの火ってことか?」
「そ、そうなのかな…?でもこのアパート誰も住んでないはずじゃ…」
「無断で住み着いてたのかもね。ほら、ここの畳人肌並に暖かく感じない?」
「た、確かに…でもその人どこに行ったんだ?まだ暖かいってことは直近までそこに居たって事だろ」

そう。そして…俺が入る前に聞いた不可解な音…雨の打つ音と鍵を開ける音でよく聞こえなかったけど、確かに何かを叩くような音を聞いた。もしかしたらアレはここに住み着いていた人がここから逃げていく音だったのかも。

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作者名:らギ | 作成日時:2024年3月23日 19時

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