猫目少年と桜少女の恋物語２【赤髪の白雪姫】 (ページ2)

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葛藤～オビside～ページ2

オ「っはぁぁぁ……」

あの後『用事を思い出した』と言ってお嬢さんと別れてから俺は盛大にため息をついた。

オ「かっこ悪…」

俺は人影がないのをいい事に顔を抑えながらその場にしゃがみ込んだ。

……お嬢さん達が攫われたと分かった時、悔しさと怒りと同時に不安が押し寄せた。

そして俺の頭に一番最初に浮かんだのは、Aお嬢さんの笑顔だった。

……Aお嬢さんを失ったらーー…

そんな不安が込み上げてきて、いても経ってもいられなくて気づいたら城を抜け出してた。

その時、気づいたんだ

俺は、Aお嬢さんが好きなんだ、って

考えてみたら本当に簡単で、スっと俺の中に馴染んでいった。

その後、主たちと合流してお嬢さん達を助け出す作戦に出た。
洞窟の中でお嬢さん達を見つけて主が走り出して、俺もその場に向かった。

『オビ………！』

あの時、驚きと安堵を含んだお嬢さんの声が聞こえて、振り返ったら怪我をしているのが分かった。
お嬢さんの頬は痛々しい程赤黒く腫れていて口元も切れていて。

ーー綺麗な桜髪も無惨に切られていた。

その瞬間、言いようの無い怒りが渦巻いた。
散々暴れて、あいつらは全員捕まった。

そして俺はお嬢さんと顔を合わせづらくて森に来た。
まぁお嬢さんは追いかけてきたけど。髪は綺麗に切りそろえてあり、よく似合っていた。

お嬢さんの無事な顔を見たら安心して、思わず泣きそうになって、気づかれたくなくて抱きしめた。
その後のお嬢さんは笑ってたけど、きっと我慢してるんだろうな、と思ってもう一度抱きしめた。

……決して俺が抱きしめたかったからではないはず。いや抱きしめたかったけど。慰めるためだったし、別に邪な気持ちは、…ちょっと、くらいしか、なかったし…うん。

俺の腕の中で泣きじゃくるお嬢さんは小さな子供のようで。

守りたい、そう思った。

オ「…でも、もうちょいスマートなやり方あったよなぁ…」

例えば頭を撫でながら優しい言葉かけるとか、ハンカチを差し出す、とか。俺持ってないけど。

オ「はぁぁぁ…｣

二度目の大きなため息をつく。

とにかく、俺はお嬢さんに最も厄介な感情を抱いてしまったようだ。

オ「…あとで主とミツヒデの旦那にでも相談するか…」

いやでも、旦那はともかく主はからかう気がする…

そんなことを考えながら、お嬢さんの元へと向かった。