【小説】百花繚乱妖ノ宴【募集企画】 (ページ3)

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1日目（1/1）　幻想の社【霧風】ページ3

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…僕はいつからここに居たんだっけ？

閉じていた目を開きながらぼんやりと考える。

鏡月の様に輝く満月を見た僕は、今日が『宴』の始まりだと言う事を知った。

「…皆、集まるのかなぁ…？フィン」

そう呟くと、ガサガサと聞こえ

『集まるんでしょうね。多分』

と返ってきた。

______ここは時空の狭間。幻想の神社。

誰とも会わない、捻れた時空。

桜や山茶花、彼岸花に椿に牡丹。

四季折々の花や物で埋め尽くされた場所。

地面の原っぱは水に沈んでいる中の草はユラユラと揺れて魚は宙を舞い踊る。

空に浮かぶは鏡月の月。

ずぅっと昔からここに居た気もするし、少し前に来たばかりのような気もする。

限られた空間を、フィンと二人、ずっと住んでいた。

「…行ってみよっか？宴にさ」

『私は良いですが……主様は大丈夫なのですか？』

「……そうだった。僕は無理なんだった」(苦笑い

苦笑いをして、空を仰ぐ。

ここは綺麗な僕の“牢獄”だ。

言い方を良くすれば“箱庭”。

ここからは長い間抜け出せてない。

出られるかも知れないが、怖いんだ。

昔の様になってしまうのが。

「フィンだけでも行ってきなよ。僕は待ってるからさ。」

『嫌ですよ。主様が行かないのなら私も行きません。』

「……全く。お母さんみたいだネ。フィンは」

そう言って笑うと、目の前の白い大蛇は目を細めた。

笑ってるつもりなんだろうと、僕は考える。

そう。この大蛇が先ほどから話しているフィンなのだ。僕の友達の白い大蛇。

この子とここで暮らしている。

____正確にはあともう一人居るんだけどね……

そっと自分の胸に手を当てる。

途端、シャランと音が鳴った。

__時空の鎖だ。

僕はこれに縛られている。

正確には“もう一人の片割れ”だけどね。

スッと立ち上がる。

それと同時にガランっと大きな鈴の音が響き渡った。

____僕はここの主。縛られている者。

その者は鏡月の様に輝く白銀の長髪を持ち

深海の如く深く、全てを見透かす様な瑠璃色の瞳を持ちて

片割れを中に封じる者。

封印されし者、闇夜に解ける漆黒の長髪を持ち

暁の如く透明で、血のように紅の瞳持ちて

______神に背きた者_____