1日目(1/9) 影と光の夢 【霧風・隆露】 ページ11
…知っている、声がした。
何となく、僕はこの三人を返そうと考えパンッ!と手を打った。
「__では、今日の宴はお開きにしましょう。一応境界の綻びは直しておきます。……なので、来たいときは僕を呼んでください。……僕は霧風です。では」
三人を見送って、先程声がした方へ顔を向ける。
「…久しぶりだね。純夜」
「久しぶり!元気だった?」
「まぁね〜」
そんな会話を交わす相手は、唯一僕の素顔を知っている九尾狐だった。
仮面を外して、最初に聞いた事
「…その姿…どうしたのさ?子供になっちゃって…何かの罰ゲーム?」
「この姿の事?…何でもないよ!ってか、何の罰ゲームでこんな事するの」(苦笑い
「それしか考えられなくてね。お茶でも飲む?」
「うん、貰おっかな。」
僕は空に切れ目を入れると、そこから緑茶を取り出した。
透明な、赤と蒼の江戸切子のグラスにお茶を注ぐ。
『純夜様。和菓子入りませんか?山梨県で有名な《月の雫》があるんです。』
フィンが蛇のまま、純夜に聞く。
「へぇ〜。じゃあ僕、貰おっかな。ありがとう」
ニコッっと笑った純夜を見て、フィンは嬉しそうに
目を細める。
…全くなぁ…、そう思いながら頬杖をつく
「フィン〜、僕は金平糖チョーダイ?」
『分かりました♪持ってきますね。』
スルスルと社の方へ戻っていくフィンを見て「働き者だね〜」と呟く純夜。
「霧風おねえちゃんは…いや、霧風でいいんだっけ。霧風は月の雫食べないの?」
「ぶどうはぶどう。何か入ってるの僕嫌いなんだよねぇ……。あ、フィンには内緒ね。しょんぼりするから。」
そう耳元で話すと、「なる程ね。」と苦笑する。
「ところでさ、“あの子”は元気?」
「あの子?」
唐突なその質問に「?」を浮かべる。
そして、顔を見て察した。
「……まぁね、多分元気だよ。…会いたい?」
「会えるなら、久しぶりに話したいかな?」
…やっぱりそうなるかぁ。ま、昔よりは丸く……なってる事を願いたいな
「…いいよ、でも一度社に行かないと駄目だよ?箱庭は様子が違うから。」
「うん、分かった」
そう言って無邪気に笑う目の前の少年に、僕はちょっと孤独感を覚える
僕はあいつじゃないから、ぼんやりとしか記憶がない。だから、きっとあいつははっきりとこの子を覚えるだろう。
「…フィン、開くよ。手伝って」
『そうですか、…はい』
皆で社に入り、もう一つの社に繋げる。
「…行ってらっしゃい。」
……
「…よお、久しぶり」
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奥羽♪ - 更新しました (2018年1月20日 23時) (レス) id: 92252edc3a (このIDを非表示/違反報告)
奥羽♪ - 更新します (2018年1月20日 23時) (レス) id: 92252edc3a (このIDを非表示/違反報告)
奥羽♪ - 更新しました!! (2017年12月27日 13時) (レス) id: 92252edc3a (このIDを非表示/違反報告)
奥羽♪ - 更新します (2017年12月27日 13時) (レス) id: 92252edc3a (このIDを非表示/違反報告)
七見(プロフ) - 更新しました! (2017年12月26日 13時) (レス) id: ced2403378 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黄昏猫 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時:2017年7月17日 20時