6《信用》 ページ6
全てを話し終えた時、しばらくその場はシンと静まり返った。
「なるほど…確かに信じがたい…」
悩む三代目に私の胸は締め付けられた。
結局私はどこに行っても情けなくて何もできない。
その事実に悔しくて申し訳なくて涙が出そうになっていると、今度はカカシさんが口を開いた。
「この世界のこと知ってるってことはオレ達のことも知ってるんだよね?なんで知ってるわけ?」
『あ、えっと…私のいた世界に本があって…この世界のことを書いた本が…それで三代目が猿飛ヒルゼンさんで、あなたがはたけカカシさんだって事も知ってます。』
そう話すものの2人にはやっぱり意味がわからないままだろう。
それでも三代目はゆっくりと話しかけてくる。
「なるほど…つまりその本をお主はあちらの世界とやらで読んだからこちらのことも知っておるということじゃな。これからの事も、わかるんじゃな?」
『はい…。』
三代目の問いに私はしっかりと頷く。
すると三代目は深く息を吐いてこう続けた。
「その話が本当ならお主は里の未来を知っている重要人物になってしまう、そうなればこの里から追い出すわけにもいかん。」
『そう、ですよね…』
「うむ、おそらく容姿が変わったのはこちらの世界とやらに来た事で何かしら容姿を変えるような要因があったと仮定するのが無難じゃな。」
三代目の言葉に私は感動する。
さすが三代目だ…次々に話がまとまる…。
「お主が仮にあちらの世界で死んだとするなら、あちらの世界に帰れるかどうかはわからんが…帰れるまでしばらくこの世界で生活するのも良いと思うが…どうじゃ?」
『え…!?』
予想外の言葉に私は驚いて三代目を見る。
顔をあげて見た先には優しく微笑んだままの三代目の顔があった。
「元の世界に帰れるまで不安じゃろうが…ある程度の生活は保証しよう。」
『あ…はい…』
元の世界という三代目の言葉に私の心に影がさす。
だけど、死んだ理由を話してない上に気遣ってくれている三代目にこれ以上迷惑もかけられない。
それに、もしかしたら私がこの世界にきたのには何か理由があるかもしれない。
そう感じ、私はこの世界での生活を決めた。
『よろしくお願いします。』
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作者名:珠羅《SHURA》 | 作者ホームページ:http://lyze.jp/yomosugara47/
作成日時:2018年2月10日 15時