今宵、あなたに夢を。 (ページ46)

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４６《反省》ページ46

『あぁ…宿に着いちゃった…』
「残念だったね。」

息を切らす私と、ちっとも息も乱れてないカカシさん。
その腰につく的には何も刺さってない。

結局私はあの作戦の最後、カカシさんに的を当てられなかった。

『もう少しだったのに…』

投げた手裏剣をカカシさんは避けてしまい、そして結局宿に着くまでにもたくさんの手裏剣を使っても、罠を仕掛けてもカカシさんに手裏剣をかすめることすらできなかった。

「ま、明日もまた行く時に修行がてら色々してあげるから頑張りなさいよ。」
『こんなのじゃ、上忍なんてまだまだですね…』
「焦ることはない。…今日のところはとりあえずお風呂でも入っておいでよ。』

カカシさんにそう促されて、私は頷くだけで宿にある温泉へと向かった。
もちろん、そう簡単にはいかないことはわかってた。

それでも、悔しい。

『…わ…キレイ…』

温泉のお湯の中に小さな花びらがたくさん浮かんでいて、そのお湯からも淡い香りが漂っていた。
お湯自体は透明なのに、花びらの色のせいか所々でピンクやオレンジに染まっていて、どこか幻想的だ。

『…はぁ…』

身体をお湯にゆっくりと沈める。
暖かくて、ちょうどいい温度が身体をじわじわと温めてくれる。

『…悔しいなぁ…、もう少し作戦をちゃんと考えてれば…。』

感動はあっという間に消えていき、それと同時に後悔が出てきた。
もっと早く手裏剣を投げていれば…
もっと上手くトラップを仕掛けていれば…

そんな思いでいっぱいになる。

『強くならなきゃ…』

手裏剣を投げ続けて少し痛む腕をギュッと抑えて、私は小さく呟いた。