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39《休養》 ページ39

「…風邪ですね。お薬出しておきますんで食後に飲んでください。」
「そうですか、ありがとうございます。」

カカシさんに連れられてきた病院での診断はただの風邪だった。
聴診器を首にかけながらお医者さんが私を見て微笑んだ。

「しんどいだろうけど、ゆっくり休んでね。お薬は甘い方がいいかな?」
『ううん…普通のがいい。』
「そっか、じゃあそうしておくね。それじゃ、外でお薬もらってね、お大事に。」

お医者さんに軽く頭を下げて診察室を出る。
待合室はカラフルでテレビにはアニメが、本棚には絵本が置いてある。

すぐに名前を呼ばれて、カカシさんがお会計と薬を受け取って帰ってくると優しく私に微笑む。

「それじゃ、帰ろうか。帰りにゼリーとか買って帰るからね。」
『ありがとうございます…』

来た時と同じようにカカシさんに背負われて病院を出たところでカカシさんが話を持ちかけて来てくれた。

「…お前のいた世界も小児科の待合室はあんな感じだったんでしょ?懐かしかった?」
『…よく分かりましたね、どこの世界も一緒みたいですね。』
「まぁそうだろうね。錠剤の薬みたいだけど、本当に甘い方じゃなくて良かったの?」

そう言うカカシさんからいたずらそうな笑いが聞こえてくる。

『だってもう17歳ですよ、そんなの飲めないですよ、わかってるくせに…。』

力の入らない手で軽くカカシさんの肩を叩くとカカシさんはクスクスと笑っていた。

スーパーで買い物をしている間もずっと私はカカシさんの背でぼんやりとしていた。
こうしていると、まるでカカシさんが本当の自分の家族のようにも感じた。

「ほら、治るまではゆっくりしてなさいよ。」

家についてベッドにおろしてくれたカカシさんに軽く頭を下げるとカカシさんが顔を覗き込んでくる。

「んー…少し熱が上がったかな?今からご飯作ってあげるからそれ食べて薬飲んで早く寝なさいよ。」

布団をかぶせてくれたカカシさんは台所に立つと、トントンとリズムのいい包丁の音を立てて、次第にいい匂いが部屋にこもる。

小さい時から風邪を引いてもこんな対応はされずだった私にとっては、少し違和感はあるもののなぜだかすごく心地よくて、風邪の辛さもあるけど少し幸せに感じた。

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作者名:珠羅《SHURA》 | 作者ホームページ:http://lyze.jp/yomosugara47/  
作成日時:2018年2月10日 15時

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