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38《風邪》 ページ38

『ん…』

目がさめると夕方のオレンジ色に染まった天井が目に入った。
ぼんやりとした感覚から、徐々に意識が戻っていく。

「体調はどう?」

横からの声に顔を向けると、カカシさんがこちらを覗き込んでいた。
額当てのない前髪が降りた、スウェット姿のカカシさんはベッドの横に腰掛けて本を読んでいたようだ。

『…体調…って言うより、カカシさんは任務は…?』
「もうとっくに終わって帰って来たよ。それよりお前ね、体調悪かったなら無理せず休みなさいよ。」

カカシさんのその言葉に段々と薄れていた記憶が戻ってくる。
そういえば、頭痛がして修行は途中で切り上げて帰ってきた。
それで、勉強しようとして教科書を見た時にめまいがして…

『…学校!!』

思い出して跳ね起きようとした私の体をカカシさんがそっと支えた。

「あのね…そんな熱で行けるわけないしもう終わってるよ。アカデミーにはもう連絡してあるから明日もしっかり休め。」
『熱…?』

カカシさんのその言葉にだんだんと自分の身体が熱を持っているのに気付いた。
カカシさんはため息混じりに続けた。

「そーよ。とりあえず今から病院行くから。…多分風邪だとは思うけど念のためね、薬も貰いに行かなきゃね。」
『え、あ…はい…。』

カカシさんに言われるがままゆっくり立ち上がると自分の体がすごく重たく感じた。
だるくて何もする気が起きない。

「…A、ほら。」
『へ?』

名前を呼ばれて見るとカカシさんがこちらに背を向けてしゃがんでいた。
わけもわからず首をかしげる私にカカシさんはちらりとこちらを見た。

「あのね、体調を崩してるやつを無理に歩かせて行くわけないでしょ?気にしないでいいからおいで。」
『え…』

カカシさんの言葉に戸惑った。いくらなんでもそれは…。
でも、ここでこのままなわけにもいかない。

『…し、失礼します。』

意を決してカカシさんの背中にそっともたれかかった。

39《休養》→←37《No.4 -K side-》



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作者名:珠羅《SHURA》 | 作者ホームページ:http://lyze.jp/yomosugara47/  
作成日時:2018年2月10日 15時

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