35《No.2 -K side-》 ページ35
彼女は、とても頭の良いタイプで周りをよくみて考える子だった。
正直なところ、オレもそこまで暇な日が続いてるかと言われるとそうでない。
任務に追われて家を空けることも多かったが、それでも寂しそうな事は言わずに笑って送り出す彼女の姿に何度救われただろう。
でもその一方でその対応に腹が立った事がある。
アカデミーに合格した彼女を、オレはかつて父さんがしてくれたように焼肉に連れ出した。
美味しそうに肉を頬張る彼女の姿は、少女のその姿によく似合っていて可愛らしかった。
ガイやアスマ、紅が合流しても彼女は子供らしいその対応を見せていたのだが、アスマが担当上忍の話を持ち出した途端、空気は変わった。
彼女が家に来てからといい、確かにオレは暗部の頃と比べると丸くなった方だろう。
それでもオレは実際、オビトとのことが忘れられてないのもまた事実で、どうしてもオレは任務の命令を優先したかつての自分が許せなかった。
だから、たとえ優秀な奴であろうとチームワークを考えてないやつに忍者になる資格はない。
「もちろん、試験はするさ。合否はわからないけどね。」
そう言ってオレが箸を置くと空気は沈んだ。
しかし、それを変えたのは彼女の子供らしさで。
助かったのも事実だが、それが計算の上だとわかった途端、オレはなんとも言えない気持ちに襲われて腹が立った。
ただ、その怒りはほんの一瞬だった。
オレは怒っていたわけではなかった、ただ寂しいような悲しい気持ちに襲われていただけだった。
どうしてそこまでして周りを見るんだ、やめてくれ。
その対応をしていた父さんが脳裏によぎって、まるでこのままだと父さんのようにこの子も消えてしまうんではないだろうか。
誰もお前をいじめないよ。
お前をいじめるような奴がいたらオレが守ってあげるから。
だって、そのためにオレはお前と暮らすことになってるんでしょ?
強く抱きしめたその身体は小さくて、いくら17歳にしてもまだ幼いその心で必死に考えていたのかと思うとオレは…。
「…オレはどうやらお前から離れられないみたいだね、どーも…。」
オレは泣き疲れて眠った彼女をベッドに寝かせて、まだすやすやと眠る彼女の髪を撫でると任務へ向かった。
彼女がオレにもっと頼れるように。
オレがもっとアイツを守ってあげられるように。
その一心でオレは任務後に三代目の元へと向かった。
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作者名:珠羅《SHURA》 | 作者ホームページ:http://lyze.jp/yomosugara47/
作成日時:2018年2月10日 15時