33《めまい》 ページ33
『ただいま。』
家に帰ると部屋は真っ暗だった。
そういえば、カカシさんは今日任務だって言ってたっけ。
昨日の言葉から私はボンヤリしていて、その後のことはボンヤリと寝ぼけたような記憶でしかない。
『…ご飯食べる気になれないな…お腹も空いてないし…』
冷蔵庫を開けてみたものの、食欲の無さに私は冷蔵庫から何も出さずに閉める。
『それよりも勉強しなくちゃ…。』
とりあえずのように座って、机の上に参考書や教科書を広げる。
カカシさんが使っていた勉強机の上には、上忍のための参考書や机の目の前のボードには押しピンで止められた鈴が2つぶら下がっている。
『…これを生で見るなんて思ってなかったな…。』
鈴を指先で鳴らしてみるとチリン、と綺麗な音を部屋に響かせる。
これを取ろうと今まで何人が騙されたんだろう…。
そして、ナルト達もこれに騙されるんだろう…。
『仲間割れ、か…。』
もし私が何も知らずにこの試験を受けていたら、きっと私もカカシさんの作戦に引っかかってチームワークなんて気にせずに仲間割れを起こしただろう。
『意地悪だなぁ、カカシさん…。』
クスリと笑って、私は教科書に向き直った。
その、次の瞬間だった。
『あれ…?』
教科書の文字が歪んで見えた。
それをはじめに、体が一気に重たく感じ、頭痛が増した。
『う、…』
徐々に体が動かなくなって、私はそのまま意識を手放した。
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作者名:珠羅《SHURA》 | 作者ホームページ:http://lyze.jp/yomosugara47/
作成日時:2018年2月10日 15時