今宵、あなたに夢を。 (ページ24)

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２４《顔色》ページ24

「オレも小さかったから全部を覚えてるわけじゃないけどね…、父さんが里の人達に批判されだしてしばらくした時だったかな。」

カカシさんの顔をみようにも、額当てと口布に覆われて見えない。

「父さんは、周りの人の表情やその場の空気を気にするようになった。それはどんどん酷くなっていってね。その場に合わせて発言や表情を変えるようになったんだよ。」

私はただ手を引かれながらその話を聞いていた。

「その場の空気を読むことはある程度必要だ。…でも、お前を見てて気づいたよ。人に批判されたり、お前みたいにいじめを受けた人間は周りの雰囲気に合わせようとしすぎる。」

…そうだ、それは間違いない。
母親を怒らせないように表情を伺ってた。
嫌なことでも雰囲気を壊さないようにと笑顔を浮かべてた。

思い出して俯くと、カカシさんが歩みを止めた。

「もう、お前をいじめるやつはここにはいないよ。」

顔を上げると、悲しそうなカカシさんの顔があった。
次の瞬間、カカシさんは私を強く抱きしめた。

「もう顔色を伺う必要はないんだ。そんなに必死に雰囲気を読まなくていい。」

耳元で響くカカシさんの声に、その言葉に、その温もりに私はカカシさんの服を握りしめた。

「オレがいつも“子供らしく”と言ってたのは、お前のその身体ももちろんだがお前は１７歳にしては気を使いすぎだよ。…そんなのはもっと大人になってからでいい。１７歳ならまだ子供らしくワガママでいいんだよ。」

カカシさんの言葉に、気づけば私は泣いてしまって。
そんな私をおんぶしてくれたカカシさんの背中で私はいつのまにか泣き疲れて眠ってしまった。