今宵、あなたに夢を。 (ページ16)

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１６《決意》ページ16

全てを話し終えた私に、カカシさんはそっと頭を撫でてくれた。

「そう…そんな事があったんだね。話してくれてありがとう。辛かったでしょ。」
『いえ…すみません…』
「謝らなくていいさ。…話しにくかったでしょ。」

カカシさんに頭を撫でられたまま、私は首を振った。

『別に…大丈夫なんです…でも…』
「ん？」

私はカカシさんを見る。

『私の死んだ理由で、カカシさんが…カカシさんがお父さんの、サクモさんの事を思い出してしまうんじゃないかと思って…それで…』

そう言うと、カカシさんは目を見開いて。
でも次の瞬間、優しく目を細めて笑顔を作ってくれた。

「なんだ…その事も知ってるのね。だから言わなかったの？…気にしなくていいんだよ、オレは昔こそ父さんのやり方に悩みもしたけど、今は父さんを誇りに思ってる。大丈夫だよ。」

カカシさんにそう言われるまま、私はまた涙をこぼしてしまった。

「全く…そう泣かないでよ。お前がどこまで知ってるのかわからないけど、そう気を使われてちゃオレも心配になるでしょ？」
『私…この世界の本を中学生の時に読みました…その時、感動したんです…』

未来を語るわけにはいかない、私が未来を語る事で変わってはいけない。
それでも、私はカカシさんにバレないように続けた。

『その主人公、すごく強くて、いつだって自分の夢に一生懸命で…カカシさんももちろん出てくるんですけど、カカシさんの考え方とか過去とかも…あんな事あったのに頑張ってて…』
「どこまで知ってるのよ、全く…」

少し困ったようなカカシさんに、それでも私は続ける。

『その本に出てくる人はみんな一生懸命で…羨ましくて…いじめを耐えられたのは、その本のおかげでもあるんです…私、そんな憧れてた世界にこれるなんて…思ってもなくて…ありがとうございます…！』
「あ、あのね、オレは別に何もしてないんだけど…」

頭を深く下げると、混乱したカカシさんが顔をあげさせてくれる。
一生懸命だったあのナルトや他の登場人物にもいつか会えるだろう、でもその時に、私も一生懸命に生きて、厚かましいけど並べるくらい強くなりたい。
もしかしたら、死ぬ前に願った事を神様が叶えてくれたのかもしれない。
私は顔をあげて、カカシさんに強く言った。

『私、この世界で頑張ります…！強くなって、一生懸命、人生を過ごします…！だから、…だからカカシさん…！これからどうぞよろしくお願いします…！！』

これは、私の決意。