今宵、あなたに夢を。 (ページ13)

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１３《過去③》ページ13

「本当はお前、〇〇の財布盗んだんじゃないのか！？」
「そーだそーだ！返してやれよ、泥棒！」

教室中が私を批判する声で溢れて、先生がその場を収めようとするもその声は止まなかった。

『ち、違う…私はママが勉強を…』
「そんな言い訳すんなよ！」

私の弁解の声も聞かれないまま、批判はどんどん増していく。

いくら学校に友達が居ても、プライベートで遊んだことのない私をかばってくれるほどの友達は誰も居なかった。
その後、なんとか先生がその場をおさめてはくれたものの、私がいじめの標的になるのは時間の問題だった。

最初は、陰口だった。
授業中に悪口を書いた手紙が回ってきて、廊下ですれ違うたびに聞こえるようにその陰口をささやかれた。

次に、誰にも無視をされるようになった。
そして、私物を隠されるようになり、暴力へといじめはヒートアップしていった。

元々家でもヒステリックな母親の教育を受けていた私の唯一の心の支えだった学校でさえ、私の居場所は無くなってしまった。
もちろん、勉強にも身が入らなくなっていった。

「何よ、この成績は！！」
『ごめんなさい…』
「なんでこんな点数なのよ！！」
『あ、あのね…ママ、私…学校で…』
「余計な事はいいから早く勉強しなさい！！」

母親のヒステリックは更にひどくなっていった。
そして、もちろんそんな母親に私の話を聞くような余裕はなかった。

いじめの話をしようにも聞いてもらえず、無くなっていく私物や汚れた制服は、母親の目には遊んで汚れたりしたようにしか見えなかった。

そしてその思い込みが、さらに母親の教育に火をつけていった。

それでも何とか中学は耐えて卒業し、私は地元で２番目に有名な進学校に合格した。
いじめられながらで身の入らない勉強をそれでも頑張って受験したのだが、１番を目指していた母親には許せなかった。