今宵、あなたに夢を。 (ページ2)

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２《違和感》ページ2

次に目を開けた時、私の目の前には公園があった。

『え？』

目の前でブランコに乗る小さな子供、滑り台で遊ぶ子や駆け回る子供であふれているその公園。

なんで私はこんな所に？

事態が飲み込めないままボンヤリと周りを見回す。
どこかキラキラと輝く世界。
楽しそうな声が耳に入ってくるにつれて、私は徐々に思い出した。

そうだ、私は屋上から飛び降りて…死んだんだ…。

『じゃあ…ここは…天国…？』

だとしたらおかしい。

だって自分で命を絶った人は天国には行けないはず。

やけに冷静に、まるで他人の体のように頭は回った。

「ねぇ！」

突然後ろから話しかけられて私は振り返った。
そこにはピンクの髪の小さな女の子。

あれ、この子どこかで…

「１人なの？一緒にお花摘みで遊びましょ！」

女の子は小さな手にたくさんの野花を持ってニコッと微笑んだ。

もし、仮にここが天国だとしてこの子を見たことある気がするのは、きっと災害や事故で亡くなった子の写真をどこかで見たからかもしれない。

『うん、いいよ』

まぁ小さな女の子と遊ぶのも楽しいかもしれない。
私は女の子に軽く微笑みを向けて、その子の誘う花の咲いた広場へ着いて行った。

女の子はとても可愛らしく、素直で、でもどこか自信なさそうな子だった。
小さい時は私の周りもこうやって花を摘んでカンムリを作ったりしている子もいて、それが許されなかった私は遠くから見ていただけだった。

だからだろうか、こんなに楽しく思えるのは。

しばらく遊んで、周りが夕焼けでオレンジに染まる頃、女の子が突然立ち上がった。

「あ、おかーさんだ！帰らなきゃ！」

女の子の見る方に目をやると、大人の女性が手招きしていた。

『そっか、じゃあね。遊んでくれてありがとう。』

そうお礼を言うと女の子は、アッと小さく呟いて、

「聞くの忘れちゃった、名前なんて言うの？」

『A…っていうの。』

あまり好きでない自分の名前を言うと、女の子は笑顔で手を差し出した。

「かわいい名前！今日から友達ね、私は春野サクラ！また遊ぼうね！」

サクラ…？友達…？

違和感を感じながら、私は握手をして母親の元へかけて行ったサクラという女の子を見送った。
周りを見れば、もう公園には自分１人しかいなかった。

１人になると同時に、私にはたくさんの違和感が生まれてきた。