18��空欄 ページ19
本当は今すぐにでも殴ってやりたかった
私にとっては初めての恋人だった。だけどそれは罰ゲームで決まった恋人なわけで、それがただただ虚しかった。悲しかった。寂しかった。
「…田中くん」
だけどいつからか、勉強会と言う口実で彼に会えることが嬉しくなっていて
オシャレをした時もあった。その時は必ず彼は「かわいい」と真っ先に反応をしてくれた
勉強したあとにはカフェに行って他愛のない話をして笑いあって
その時は虚しさも悲しさも寂しさも全て忘れられた
「私、田中くんが好きだったよ」
「っ、Aちゃん…」
「確かに好きだった。私もこの気持ちに嘘はない。でもね、田中くんのことを好きだって思う度にこれは罰ゲームでやってることだって言うのが過ぎってさ」
「…ごめん…」
「私すごく悲しかったし悔しかった。やっと出来た恋人は罰ゲームで決まった人で。だから私意地になって田中くんのこと好きにならないようにしてたの」
私が話すと彼はより一層強い力で抱きしめてくる
まるで離れないでと言うように
「…田中くん、実力テストどうだった？」
「………えっ？」
私の突然の質問に彼はバッと私から離れ、肩に手を置き私のことを見つめる
「私ね、どうしてもわかんない問題があってさ人生で初めて空欄にしちゃったの」
「Aちゃん…」
「っ、田中くんに教えてたらさ、私がわかんなくなっちゃった」
その言葉を発したとき、堪えていた涙が溢れ、私の頬を伝って地面に落ちる
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作成日時：2020年10月29日 18時
