時透無一郎のアピールがすごい

参拾漆　番外編　【喧嘩　３】 ページ49

無一郎side (喧嘩中)


Aと喧嘩してしまった


今までそんなに喧嘩をしてこなかったのに…


喧嘩の原因は全て僕


僕が誰にでも優しいAに嫉妬してしまった勢いで…


怒鳴ってしまった


その結果コレ(・・)


僕の嫉妬でこんなにも大きな喧嘩になるとは思わなかった


『近すぎっ！』


A「これからは気をつけるよ」


『うん』


ぐらいで終わるだろうと思っていた


いつも、そうだったから


だけど今回は何故かいつもより怒鳴ってしまって


言い返さないようにしてしまった


全て僕のせいだ


いつもこの時間ならAの屋敷に行っているだろう


『ねぇねぇ、何してるの？』


『僕もしたい！』


『ふろふき大根作って』


僕が押し掛けてるのに


僕が願ってばかりだった


「ごめん、ふろふき大根は無理かな」


そうやって最近よく断られていた


ふろふき大根を食べたのはいつだろう


そう言えるほど最近は食べていない


流石に頼みすぎたかな？


僕のために色々としてくれるからなぁ……


ほら、まただ


僕はいつも会っているにも関わらず


よく頭の中からAのことが離れない


僕はよくいろんなことを忘れる


人の名前だって、会ったことがあったかどうかだって


そんな僕をお館様は認めてくれた


柱のみんなも、それにAも


でも何故か


Aのことは忘れなかった


よく覚えていた


いつもなら、頭の中の記憶に霞がかかったようにぼんやりとしているのに


Aのことは霞どころかはっきりと覚えておけることができていた


何故なのかはわからない


でも、この気持ちは初めてだった


それから、少しだけ。ほんの少しだけだけど


忘れていたことが分かるようになってきた


まだ、自分の過去は分からないけど…


でも、いつも！


いつも、時々頭痛が襲ってくる


もちろん超痛い


でも、少しずつ、記憶が戻ってきている


「それは、多分だけどね。無一郎の記憶が戻ってきているんだと思うよ。無一郎の過去のことが少しずつ、分かってくるよ。」


お館様もそうおっしゃっていた


僕の記憶が戻りかけている…らしい


まだ霞みがかった感じなんだけど、あと少しでこの霞が消えそうなくらいになっている


きっと、これもAとお館様、炭治郎達に柱のみんなのおかげだと思う


この気持ちを、そして僕がAに嫉妬してしまったことを全て話そう


決意した時に、玄関の方からAの声が聞こえた

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