異世界の朝 ページ10
友紀「･･･う･･････ん･･･」
日差しが当たって眩しい。
カーテンを閉め忘れちゃったか。
目覚まし時計は鳴ってない。
早く起きちゃったみたい。
･･･私の背中に当たる、このふわふわした感触は何だろう。
友紀「あ、猫･･･」
良くみると、目覚まし時計はない。
スマホもない。
ぬいぐるみもない。
それに、そもそも私の部屋ではない。
ふと、窓を開けてみる。
広い海、何処までも続く青空。
そして、気持ち良い潮風。
その風が、私の髪をたなびかせる。
そこで、記憶が鮮明になってきた。
友紀「そ、そうだ。私、異世界に･･･」
そう、私は此処の世界にトリップしてしまった、所謂『異界人』
そして、この黒猫は、スノー。
昨日ご飯を食べた後、疲れで寝てしまったらしい。
スノー「あら、起きた？おはよう、友紀」
友紀「おはよう。私、あのまま寝ちゃったみたい」
スノー「そうね、ベッドにそのまま倒れ込んで、眠ってたわ」
やっぱり･･･。
あ、そうだ。今日は、クザンさんと一緒に買い物をしに行くんだ。
何を買おう。
服は勿論、バッグに、それから家具･･･財布もいるね。
友紀「ご飯食べてから行こうか」
スノー「そうしましょう。私お腹空いたわ」
寝室から移動してみると、サンドイッチとコールスローサラダが置いてあった。
クザンさんが作ってくれたのかな？
友紀「じゃ、頂きます」
スノー「そうだ、コールスローサラダ、半分とっておいて」
友紀「食べるの？」
スノー「野菜好きだから」
猫なのに、野菜好きなんだ。
言葉も喋れるくらいだから、何処か普通の猫とは違うんだね。
† † †
友紀「そろそろ行こうか」
スノー「そうね。彼の部屋は隣にあるわ」
友紀「うん」
持ち物は、手帳だけ。服も、昨日の服だけど。
異世界の服って、どんな感じなんだろう、
コンコンと、軽くノックをしてみる。
ボル「どうぞぉ〜」
え、誰？間延びした男の人の声って、絶対クザンさんじゃない･･･。
まぁ、とりあえず入ってみよう。
友紀「失礼します」
部屋には、クザンさんの姿はない。あるのは、山みたいに積み上げられた紙だけ。
ボル「その山みたいに積み上げられた書類の中だよぉ〜」
はい？
スノー「どうやら、彼はサボり癖があるらしいわ。多分これ、徹夜して、終わらせたんでしょ」
ボル「わっしの監視の下ねぇ。いやぁ、疲れたよぉ」
･･･このサボり魔と買い物に行くんですか。
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作者名：朱雀 | 作成日時：2016年11月4日 7時
