異世界、私は誰かを思い出す。第１章～海軍本部編～ (ページ9)

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黄昏る少年ページ9

草木が静まり返る真夜中、『彼』は、そこにいた。
今いるのは、セント・ポプラ。
そこにある大きな木の下に、『彼』と、白い狼のトーヤがいる。

少年「あの猫は、導いただろうか」

トーヤ「さぁな。俺の知る事ではない」

『彼』の見つめる先にあるのは、鯨のような大きな海賊船。その上で、船員達が宴をしている。

少年「あの人達は、何の身寄りもない僕を、受け入れてくれた。家族みたいな人達だった」

「親父」と呼ぶその人は、身体も心も大きい、何より仲間を大事にする人で。
「マルコ兄」と呼ぶその人は、口調は厳しいけど、色んな事を教えてくれた。
「エース兄」と呼ぶその人は、何時もはおちゃらけてるけど、戦闘の時は僕を一番に守ってくれた。

少年「なぁ、トーヤ。あの子に、真実は伝えた方が良いよな？」

トーヤ「その方が良いだろう。しかし、まだだ。少しでも順応してからで無ければ、彼女はそれを受け入れられないだろう」

これを伝えるべきかなど分からない。
それに、これでいいのかすらも分からない。
ただ、一つ言うならば。

少年「僕は、君と同じ『異界人』なんだよ」

ただ、これだけだった。