異世界、私は誰かを思い出す。第１章～海軍本部編～ (ページ29)

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新兵採用試験最終日地獄のフルマラソン前編ページ29

今日が最終日、そして大トリの「フルマラソン」
聞くところによると、ただのマラソンではないらしい。･･･どういう事だろう？クザンさんは見ればわかるといっているけど。

センゴク「諸君！ここまで、よく頑張ってくれた！ついに最終日、この『地獄のフルマラソン』を制覇して、初めて我らの仲間となる！最後まで気を抜かず、励むように！」

友紀(あれ･･･昨日と全く変わってない)

マラソンは海軍の所有する大きな無人島を使って行われる。元々は、軍事演習などに使われるが、この日だけはマラソンコースになる。スタート地点は砂浜。足が砂の中に沈むし、太陽がギラギラ照りつけているせいかとても暑い。

デリス少佐「では、位置に着いて！」

それぞれの位置に着き、始まりを待つ。
懐かしいなぁ。リレーを思い出しちゃう。
まだお母さんが生きていた頃だったかな、体の調子がいいからって、運動会に来てくれて。
小さな小学校の小さな運動会だけど、高学年リレーは凄く盛り上がったんだ。
私は紅組。ずっと勝ち続けていて、今年も勝つだろうと思われていた。
でも、アンカーが転んじゃって、勝ったのは白組になった。
あの時、私は凄く悔しくて。だって、カッコイイところ、何一つ見せられなかった。足も別段速くないし、持久力も普通だった。

冬華「いいの、いいの。友紀、とてもかっこ良かったわ。ありがとう。最高の思い出が作れたわ」

メソメソする私を、お母さんが、慰めてくれた。
それが、とても嬉しかった。

･･･と、私が思い出に浸っていたら、もうすぐスタートらしい。

デリス少佐「よーい･･･」

スタート！！

一斉に走り出した。
浮き上がる砂埃が目に入って、思わず目をつぶる。

さぁ、『地獄のフルマラソン』の始まりだ。