藤堂 真奈 ページ25
真奈「私の父･･･藤堂真が言っていた。毎晩毎晩、呪文のように、私に語りかけてきてね。それを思い出したの」
友紀「藤堂、真！？じゃあ･･･」
真奈「そうよ。私は、その娘」
そうか。だから、あんなに詳しかったんだ。
超能力。ラプラスの瞳の施設のすべて。
知らないはずがない。
真奈「私が、今のラプラスの瞳の『真の目的』について言ってあげても良いんだけど。こればっかりは、言えない」
友紀「どうして？」
真奈「貴方にとって、余りにも残酷な真実よ。それに、今は時期が早い。異世界で『彼』を見つけてからでないと･･･」
友紀「『彼』って、ユウト君の事だよね。私も、探してるんだけど、見つからないんだ」
真奈ちゃんは、ゆっくりと、物悲しそうに頷いた。
やがて、何かを決意したかのように、顔を上げた。
真奈「だったら･･･最後に、私のもう一つの『秘密』言ってあげるわ」
友紀「もう一つの『秘密』？」
秘密って、どんなのだろうなぁ･･･と、思いながら、聞き返した。
真奈ちゃんは、私の予想を超える発言をした。
真奈「私は、二年前に死んでいるの」
友紀「･･･はぁ？」
思わず、そんな声を零してしまった。
だって、ありえない。
『もう既に死んで居るはずの少女が、今こうして私と話している』なんて。
真奈「ええ、私もありえないと思ってる」
友紀「･･･」
真奈「私は、神なんて信じちゃいないけど･･･けど、本当にその神がいるのなら、これだけはお礼を言いたい。魂だけだけど、今、貴方と話すことが出来ている奇跡が起きたんだから。それだけは、本当に感謝してるわ」
友紀「う、うん･･･」
真奈「もうすぐ、『お迎え』ね。後少しで、消える･･････」
友紀「きえ、ちゃうの･･･」
いつまでも、話せる訳じゃない。
そう分かってはいた。
でも、いざその時が来ると･･･。
まだお話をしたい、連れて逝かないで。
そう、思ってしまう。
真奈「友紀。貴方は、この世界の真実を知らなすぎる。何時か･･･『海軍本部』という大きな鳥籠から抜け出して、『真実の島』へと、たどり着いて」
友紀「真実の、島？」
真奈「ぁ･･･」
真奈ちゃんの身体が、どんどん透明になってゆく。
でも･･･彼女は、笑顔を浮かべていた。少しぎこちないけど。
真奈「友紀･･･貴方に、逢えて、良かった･･･」
最初で最後に笑った少女は、友紀に看取られながら、消滅した。
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作者名：朱雀 | 作成日時：2016年11月4日 7時
