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友紀「お父さん、遅いな･･･」
皆さん、こんにちは。私は時上 友紀と言います。
今日は散歩に行く日なので、白いショルダーバッグを肩に下げ、待っているんですが･･･。
「もしかして、忘れてる？いや、そんなことないよね」
独り言を呟いても。
友紀「･･･来るよね？」
不安になってきた。どうしよう、来なかったら。
公園でお母さんのお話出来ないよ。
その時。
ドタドタッ、という足音と共に、お父さんが降りてきた。
友紀「お父さん、遅いよ」
お父さん･･･時上 光喜(こうき)は、ハッとした顔で私を見つめてきた。
光喜「･･･あ、ごめん！すっかり寝てしまって･･･」
友紀「いいよ、お父さん。もう行こうよ」
今から行く未空池公園は、歩くと少し遠い。
他にも公園はあるのに、どうして少し遠い公園に行くのかは、そこの公園が、お父さんとお母さんが出会った場所だから。
散歩は月に一度。少ないけど、お父さんの仕事の都合。･･･確か、前はお母さんが出会った日のお話だったかな。
やがて、未空池公園に着いた。
未空池は綺麗だから、今日もキャンバスに絵を書いている人がいる。
ランニングしている人。
子供を連れて歩いている人。
デートする相手を待っている人。
よく見ると、色んな人がいるな。
友紀「･･･ん？」
猫がいる。
黒猫で、紫色のフードを着けている。
瞳は、黄色で･･･。え？
友紀「私が昔飼っていた猫ちゃんと似てる･･･」
いや、似てるとか、そういうレベルじゃない。
全て、似すぎてる。
色も、毛並みも、瞳の色も、尻尾をプラプラさせる仕草、その全てが。
友紀「･･･ねぇ、チャコなの？」
黒猫は、頷く事もなく、ただ、一つの方向を示した。
友紀「その先の林は、何もないよ？」
でも黒猫は、「行かないの？」という目で見てる。
お父さんは、公園を散歩しているけど･･･。
友紀「お父さん、直ぐに戻るね」
そう言い、黒猫に着いていった。
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作者名：朱雀 | 作成日時：2016年11月4日 7時
