【男主】はなさない【赤】 (ページ1)

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1話ページ1

俺は世に言う幼なじみがいる。

家が隣でずーっと一緒。それは高校生になっても変わらない

ソイツは俺より明るくて、元気で、他人に優しくて、良い奴で。

そして何よりかっこいい

｢佐藤くん！｣

『....なに？』

ゆるふわカールで可愛らしい色味のリップ。

メイクも可愛く施されていて、ピンクのネイル

可愛いの化身かな

でもこの子は僕に用がある訳では無い。

｢これっ......！｣

｢重岡くんに渡して欲しいんやけど！！！｣

『....うん、渡しておくよ』

重岡大毅

黒髪ににっこり笑顔

シゲの愛称で呼ばれるあいつはモテる。

この手紙を貰うのも初めてでは無い

多分20回は当たり前に超えてるはずだし。

多分、大毅の周りに常に人がいるせいで直接は恥ずかしくて渡せないけど、幼なじみの俺に渡したら人が居ない場所で確実に渡せるからだと思う。

ちなみに俺はモテない。

1個も手紙貰ったことないし、話しかけられたこともあんまりないし

代わりに沢山告白される大毅がいつの間にか誇らしく感じてきた。

『大毅』

俺が名前を呼ぶと絶対にこっちに来てくれる。

それが申し訳なくて、いつも話の区切りを見計らって声をかける。

赤｢Aどうしたん？｣

『これ、ちゃんと読んで行ってあげて』

そう言って手紙を皆から見えないように黒のファイルに入れて手渡す。

透明だと見えるからわざわざ愛用しているファイルに入れて大毅に渡す俺を褒めて欲しい

赤｢あー、いつもすまん｣

『ここまで来ると誇らしいね』

本当に申し訳なさそうな顔をする大毅に軽く拳をぶつけて笑う。

こんな良い奴なんだ。モテるに決まってんじゃん

『トイレ行ってくる』

なんて返事するんだろ、そう言いながら席を立った

赤｢.....はぁ、かわえぇ｣