君はソメイヨシノ (ページ40)

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いた。

暗くなって夜景が綺麗に見えはじめた大阪の街を眺めてる。

「………純喜くん、」

純「…え、A？なんで？」

少し躊躇いつつも、声をかけた。

振り向いた純喜くんは、思ったより怒っているように見えなくて

でも

「私すごく迷惑かけちゃって、純喜くんも怒ってるかなと思って…」

純喜くんの隣まで行って、頭を下げる。

「ごめんなさい」

純「ええ、顔上げてや！確かに怒ってたけどそんな深刻に捉えてもらうもんでもないで」

「でも…」

純「てか、Aにじゃなくて自分に怒ってたようなもんやし」

…自分に？

気になって顔を上げると、いつもより少し落ち着いた純喜くんがいた。

純「…なんか、Aがピンチの時に俺なんもできひんなぁって。この前Aが桜や～みたいな話したやん、そしたらAがいなくなった時急に不安になって、Aが春の幻だったらどうしよ、もう二度と会えないかもって」

………なにそれ。

「ふふ、」

純「…笑ってる？」

「笑うよ、そりゃあ。そんなこと考えてたんですか？」

純「だってA、手放したらすぐどっか消えそうやん。ほんまに心配した」

いつもは騒がしい純喜くんが、静かにそんなこと言うから

そこまで心配させて申し訳ない気持ちと、純喜くんがそんなふうに思ってくれてたっていう嬉しい気持ちが混ざりに混ざって、おかしくなりそう。

純「………！？」

「…私はちゃんとここにいますから、大丈夫」

自分でもなにしてるんだろうって思った。

でも、私にとっては今の純喜くんの方がもっと、儚くて消えそうに見えたから

思わず、抱きしめてしまった。

純「A…、」

「…あ、ごめんなさい急に！すみません！」

純「いや、なんか全部持ってかれたわ。同じ部屋やったらやばかったな、ほんまに」

「え？」

純「…なんでもない！部屋戻ろ！めっちゃ元気もらった！俺もうこれでカルボナーラ10杯はイケる」

「なにそれ、、笑」

少し恥ずかしいことをしてしまったけど

純喜くんがいつも通り元気になってくれたならよかった。