第65話 ページ20
シーンと静まり返る大広間で近藤、土方を筆頭に自分たちの刀という目の前で座る彼らを見つめ続ける。
正直、彼らの話は信じられるモノではないが、彼らが嘘を言ってるとは思えない。
彼らがこちらに向けてくる眼差しは何処までも真っ直ぐで、強い意志の篭められたあの眼差しを見れば嘘だとは思えなくなる。
彼らが自分たちの刀であり、その刀の付喪神––
誰も喋らない中、ハァと土方から深い溜め息が吐き出され…
自然とその場の全員の視線が土方へと注がれる。
土方「そこまで言うなら信じてやる。なら、加州と大和守が倒したヤツらのことは当然知ってるんだな?」
加州「勿論。羅刹でしょ?新選組結成当初から知ってるんだから当然知ってるよ」
和泉守「後は伊吹龍之介や芹沢鴨とかのこともな」
土方「そうか…」
大和守「安心してよ。芹沢鴨とかのことは歴史に残るだろうけど、羅刹は残らないし、僕たちも言わない。それに…僕たちがあの人のところに戻ったら、僕たちが君たちに会ったという事実は修正されるから」
沖田「修正?それってどういうこと?」
堀川「まだ僕たちが刀だった頃の過去に僕たちが来ることは本来の歴史が改変されてしまうので禁句となっています。ですが、今の主に無理言って此処に来ています。なので、この先の歴史が僕たちの介入によって改変されないように僕たちが戻った後、今の主が修正し、調整してくれるのです」
長曽袮「要するにまぁ、今此処に俺たちが居るという事実がすっぱり消えるってことだ。当然、アンタらの記憶からも消える」
この時代に自分たちが存在し、今こうして新選組幹部と会えたという事実は確かに彼らからもこの時代からもすっぱり消えてしまう。
けど、きっとあの人は自分たちの中からは消そうとはしないだろう。
自分たちが消してくれと頼めば消してくれるだろうが、それは頼めばの話だ。
誰よりも刀剣である自分たちを大切に想ってくれるあの人は自分たちが望まないことは決してやろうとしない。
逆に自分たちが望めば叶えてくれる、そういう人だ––
今、本丸で自分たちを待っててくれるあの人を思い浮かべて加州たちの顔に笑みが浮かんでくる。
長曽袮「一週間だけだが、その間だけ此処で世話になりたい。勿論、隊士として扱ってくれてもいい」
近藤「うむ、どうする?トシ」
土方「…分かった。なら、お前らが戻るという一週間の間、隊士としてウチで働いてもらう。いいな」
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ふー - 重要なお知らせを開いてもないのですがどうしたらいいですか?何回も読んでしまいます❤️ (2021年12月4日 20時) (レス) @page28 id: eeeb0ed6b6 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫1117(プロフ) - 理玖さんの小説とても面白いです!…そこで、リクエストしたいんですけど[テニプリ]の小説リクエストしたいです!高校は立海で!突然すみません!! (2019年9月22日 11時) (レス) id: 553a215cd8 (このIDを非表示/違反報告)
ノクト - 理玖さん、いつも面白い作品有り難うございます。俺は一人っ子ですが、アレルギーで色々言われる事があるので、家族に言われる嫌味さ?見たいな事は分かります。でも頑張って下さい!応援してます。後、俺は女です。 (2018年4月26日 1時) (レス) id: 0d55308d0a (このIDを非表示/違反報告)
理玖(元海斗)(プロフ) - Aliceさん» ありがとうございます (2017年11月20日 21時) (レス) id: cad6e37131 (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - ゆっくりでもいいから頑張ってね(⌒▽⌒) (2017年11月20日 16時) (レス) id: 55dc620b05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:理玖(元海斗) | 作成日時:2017年7月12日 14時