【刀剣乱舞】美しい月が愛した神様【男主】

第41話 ページ44

演練会場から帰って来た理玖たちを残って居た刀剣たち全員が出迎え…
口々に"おかえり"を言えば、理玖や三日月たちも笑って"ただいま"を返していく。
理玖が来る前までは考えられなかった家族のような団欒のやり取り。

短刀や脇差たちが理玖を囲むように駆け寄れば、理玖も笑って一振り一振りの頭を優しく撫でていく。
優しく撫でられた短刀や脇差たちは気持ち良さそうに目を細めて…
満面の笑みを浮かべて理玖に抱き着いていく。

微笑ましい光景に後ろで見ていた打刀、太刀、大太刀、槍、薙刀の刀剣たちは静かに微笑んでいて…

理玖がこの本丸の主になってから本当に目に映る物全てが輝いて見える。
きっと、それは彼が最高神だからというだけではないだろう。


「ほら、中に入るぞ」

短刀「はーい！」


まるで親鳥の後ろを付いて歩く雛鳥のように先を歩く理玖の後ろを追い掛けていく刀剣たち。
理玖の隣には当然のことながら三日月が居て、微笑みながら理玖と話している。
すると、不意に理玖が徐に三日月の耳元に顔を寄せて何かを囁いたようで…

途端に三日月の顔が耳まで真っ赤に染まり、当の理玖は不敵な笑みを浮かべている。
狩衣の裾を口元に当て、真っ赤な顔のままキョロキョロと視線を泳がせる三日月の様子に何を言われたのか容易に想像出来てしまった他の刀剣たち。

きっと、演練会場でも言ったことを言ったのだろうと一緒に演練会場に居た小狐丸たちはまたしても苦笑を零した。


茂庭「最高神様」

「和樹、どうした」


ほのぼのとした雰囲気が漂うその場所に演練会場で別れたばかりの和樹が訪れ…
来た時の気配を感じられなかったことに三日月たちは思わず驚愕したが、呼び掛けられた理玖は平然としている。

すぐ目の前に大広間が見えているので理玖は気にすることなく歩みを進めて大広間へと入っていく。
勿論、後ろを歩いていた刀剣たちも慌てて大広間へと入り…
上座に理玖が、その隣に三日月が、周りにはそれぞれ刀剣たちが腰掛けていく。


「それで何しに来たんだ？」

茂庭「こんのすけがこの本丸に本霊が居る理由が知りたいと仰っております」

「あぁ、そう言えばそうだったな。まぁ、教えてやってもいいが…政府の管理狐であるこんのすけがこの事実を受け止められるかどうか––」


きっと、こんのすけや他の政府の役人は思いもしないだろう。
嘗(かつ)ての政府のトップが––だと言うことを––

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