【刀剣乱舞】美しい月が愛した神様【男主】

第37話 ページ40

朝霧側の刀剣たちが意識を失ってから理玖は静かに近付き、彼らの上に手を翳したかと思えば、そこから淡い光が灯され…
それは意識を失い、眠る刀剣たちに入り込んでいく。
身体に入ってくる暖かくて優しいそれに眠っていた刀剣たちの意識があっという間に戻って来る。


朝霧「お前たちっ…！」

『主！』

朝霧「貴方はコイツらに何を…？」

「俺の神気を別けただけだ。演練とは言え、戦った後は神気が減るからな」


そう言いながら理玖は立ち上がって後ろに居る三日月たちにも己の神気を送り込み…
暖かくて優しく、心地いい神気に三日月たちは嬉しそうに瞳を細めた。
それと同時に霊力も注ぎ、彼らの演練で受けた疲労などはあっという間に癒えてしまう。

本来なら此処まで神気や霊力を注ぎ込むのは難しいのだが、相手は最高神だ。
やはり、最高神と言われるだけあり、神気も霊力も計り知れない程の膨大な量を持っている。
そのため、こうして簡単に自分の神気と霊力を刀剣たちに注ぎ込むことが出来るのだ。

要するに理玖だからこそ出来ること、と言うこと。


『理玖あにさま、ありがとうございます！』

「今剣」

『ふふ、こうしてあにさまにおあいできてうれしいです！三日月としあわせになってくださいね！』

「あぁ、勿論だ」

『あ、よかったらこんどぼくたちのほんまるにもきてください。ほんまるにいる岩融や三日月たちもよろこびます！』

「あぁ、そうだな。なら、今度行ってみるよ」

『ほんとうですか！？よかったです！では、あにさまがきてくれるのまってますね！』


本当に嬉しそうに笑う今剣に理玖もフッと笑みを浮かべ、目線を合わせるようにしゃがみ込んで小さな頭を撫で上げ…
ポンポンと髪を撫でる手の温もりに今剣は気持ち良さそうに目を細め、その顔に満面の笑みを咲かせた。
それから撫で終わり、今剣は満面の笑みを咲かせたまま己を待つ主と仲間の元へと走っていく。

時々振り返りながら手を振ってくる今剣に応えるように理玖も手を振り、小さくなっていく背中を見届け…
完全に見えなくなったところで端の方で演練を傍観していた和樹に近付いた。

勿論、三日月たちも後を追って歩いてくる。
その様はまるで親鳥の後ろを付いて歩く雛鳥のようだ。



茂庭「お疲れ様でした、最高神様」

「あぁ。それより、政府の方はどうなった？」

茂庭「言われた通り、ブラック本丸に加担した者は全て生きたまま地獄へ堕としました」

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