第36話 ページ39
先程までの甘ったるい雰囲気が嘘のように纏う空気が変わり、朝霧や他の審神者たちの間に恐怖にも似た緊張感が走り抜ける。
後ろに三日月、小狐丸、大倶利伽羅、鯰尾、薬研、厚の六振りを率いた理玖は口角を上げて不敵な笑みを浮かべ…
ゴクッと息を呑む音が聞こえたのは一体誰からだっただろうか––
朝霧からだったのか、それとも別の者だったのか、それとも––全員だったのか…
神々しいと言うのが当然というような理玖に人間である審神者たちは平伏してしまいそうになる。
「最後の演練対戦を始めようか––分霊だからと手加減するつもりはない。精々、俺たちの掌の上で足掻け」
朝霧「っ……」
三日月「最後の演練対戦、理玖兄様のために勝利を収めようか」
小狐丸「ふふ、腕がなりまする。それでは––」
いざ、尋常に勝負!!
対戦開始の合図と共に三日月たちは素早く相手側を偵察し、自分たちに有利な陣形を組んでいく。
準決勝までの戦いが遊びだったかのように三日月たちの動きは隙がなく、容赦がない。
"分霊だからと手加減するつもりはない"
その言葉通りに手加減のないそれに朝霧側の刀剣たちは最早なす術もなく、次々に戦線崩壊になっていく。
嘘だろと、誰かが呟く声が聞こえてくる。
あっという間に対戦が終わり、無傷で立っている理玖側の刀剣たちと戦線崩壊している朝霧側の刀剣たち。
遠戦もなく、刀装も砕かれていない状態の三日月たちは薄っすらと笑みを浮かべながら相手の刀剣たちを見下ろしている。
三日月「すまんなぁ、手加減出来なんだ」
大倶利「分霊の中で一番の強さを誇ると言うから多少はやり合えると思ったんだがな」
小狐丸「やはり、我らとお主たちとではぬし様に対する想いの大きさが違いまするな」
薬研「まぁ、俺たちに勝ちたいなら今よりも大将のことを想うんだな」
三日月や小狐丸たち、三条派や鶴丸と違って薬研などの他の刀剣たちが理玖と過ごした時間はたかが知れてる。
それでもこの人のために生きようと、この人のために刀を振おうと、この人のためにと想う彼らの気持ちは誰にも負けていない。
過ごした時間が短くても、理玖と刀剣たちの間に築かれた硬い絆。
相手も主のことを想い、信頼しているだろうが、それ以上に三日月たちの理玖への想いが強かっただけのこと。
想いの強さがこうも違うだけで力の強さも変わってくるのか––
朝霧側の刀剣たちは僅かに思いながら保っていた意識を静かに手放した。
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理玖(元海斗)(プロフ) - 腐男子さん» コメントありがとうございます!青鬼=ブルーベリー色の全裸巨人、でしょうか!?その全裸巨人が誰か分からないですが、面白かったようで良かったです!因みに巨人は……常に全裸ですよ(`・ω・´)キリこれからもよろしくお願いします!ッ (2017年8月9日 15時) (レス) id: cad6e37131 (このIDを非表示/違反報告)
腐男子(プロフ) - 青鬼で、ブルーベリー色の全裸の巨人が頭に浮かんで吹いてしまったww (2017年8月9日 12時) (レス) id: 0ac4eb286b (このIDを非表示/違反報告)
理玖(元海斗)(プロフ) - 萠さん» コメントありがとうございます!続編、待っててくださるのですか!?ありがとうございます(*´∇`*)頑張って続編も完成させますね!これからもよろしくお願いします! (2017年7月10日 3時) (レス) id: cad6e37131 (このIDを非表示/違反報告)
萠 - 続編待ってます!応援してます!頑張ってください! (2017年7月9日 20時) (レス) id: c6855e4cbe (このIDを非表示/違反報告)
理玖(元海斗)(プロフ) - 空絵エスカさん» 返信遅れました!成る程、やはりそうでしたか。四男、めっちゃ男前ですね!これぞニキですね。次男と三男も四男を見習ってください(笑) (2017年7月9日 16時) (レス) id: cad6e37131 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:理玖(元海斗) | 作成日時:2017年6月18日 7時