【刀剣乱舞】美しい月が愛した神様【男主】

第16話 ページ19

「演練？」

茂庭「はい。演練は全ての審神者が己の力を見極める場です。そろそろ最高神様ご自身で牽制されては？」

「まぁ確かにそうだな。三日月、どう思う？」

三日月「うむ、良いかもしれぬな。それに演練は全ての審神者が集まるのであろう？もしかしたら、まだブラック本丸があるかもしれぬぞ、理玖兄様」

「まだ数件、ブラック本丸があるのは承知済みだからな。ならば、その演練で一斉排除するか」

三日月「あれだけ政府に忠告をしたと言うのにまだブラック本丸を作り続けるとは…なんとも命知らずな人間共よ」


口元を着物の裾で覆いながらクスクスと笑みを零す三日月だが、その三日月が浮かぶ朝ぼらけの瞳の奥は一切笑ってはいない。

理玖と契約を結んだ日から三日月は三条部屋から審神者部屋に変わり、常に理玖の隣に居る。
離れていた何百年という時間を埋めるように片時も離れない三日月。
離れる時は大体どちらかが厠に行く時か腰が痛すぎて三日月が布団から起き上がれない時ぐらいで、それ以外は常に一緒に居るのが最早この本丸ではデフォルトになっている。

近侍は三日月だけでなく、全ての刀剣たちと触れ合おうと交代制になっていて…
それを決めた時、三日月が拗ねたのは言うまでもない。
因みにこの日の近侍は三日月である。


「和樹、その演練はいつだ？」

茂庭「三日後の12時からです」

「三日後か。分かった、そのように俺たちも準備を進めるか。向こうの準備は頼んだぞ、和樹」

茂庭「最高神様の仰せのままに」


爽やかな微笑みを浮かべながら頷いた和樹は早速準備を進めるべく政府へと帰って行き、その背を見届けた理玖と三日月は三日後の演練のことを刀剣たちに伝えようとその場を立ち上がった。

三日後の演練で、一体どれ程の人間たちが恐怖に晒しめられるのだろうか。
閻魔大王である和樹だけでなく、最高神である理玖もあれだけ政府に忠告したのに、それでもブラックを作り上げる人間たちは三日月の言う通り、本当に愚かで浅ましい。


「三日月、三日後の演練でブラック本丸の刀剣たちをその場で回収する。そして、分霊たちが取り込んだ邪念を取り払ってから本霊であるお前たちの身体に戻す」

三日月「あい分かった」

「これ以上、刀剣たちを傷付けさせはしねぇ。次に苦しむのは貴様ら人間共だ」


綺麗な金色の瞳は人間たちに対する憎しみ、恨み、殺意でギラリと怪しい光を放ったようだった。

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