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元Bs26...female ページ10

嫌でも耳に入る他人の笑い声や、グラスがぶつかる音に耳を傾ければ、旭の思考は停止してしまう

大人数の大人が騒いで酒を煽る居酒屋で、旭は一回りも二回りも年上の彼にただ、日々の悩みを打ち明け、相談に乗ってもらおうと思っていたのに

旭は尊敬と好意の感情が入り混じる彼と2人きりでは、緊張感が昂り
食欲は無いくせに、得意でもない酒を頼んで、緊張して、飲みすぎて

ペースの早くなった飲酒は、すぐに旭を酔わせ、思考を朧げにさせた

上司のような彼に相談できる仕事の悩みも尽きてしまう

こんなにも無理に、他に悩みはないか考える理由には
彼が考えるアドバイスを、彼の口から、彼の声で聞きたいという望みがあり、旭は悩みを絞り出そうとする



『う〜ん…』



気まずいような間を埋めるために、わざとらしく頭を抱え、唸ってみるけれども
恋の悩みなど、既婚者の彼には無謀であると理解はしていた

時には厳しく、時には優しく
けれども男社会の中で、女である自分には人一倍優しい彼のことを好きにならない訳はなく
彼が結婚していれど、恋心は消えることはない

悩んだり、冷静になったり、悔しがったり
肩をすくませ、百面相をする旭をじっと見るなり、能見は優しく微笑み、声をかける



「どうしたん」



そんな優しい彼の声に、全てを打ち明けてしまおうかと血迷うが



『…いえ、何も』



冷静な自分がそれを制し、変な間を作ったあと、否定をした



「なんもないことないやろ」



自身の否定する言葉に食い気味に、突っ込まれる
散々話を聞いてもらったのは旭であるのに
彼の顔色を窺うように、少々睨むような形で彼を見た

けれども彼は、ジョッキに入っている酒を一口ずつゆっくりと、余裕を持って流し込んでいて

何故そう、分かったような、探るような口ぶりで言うのか
なんだか自分だけが焦燥感に駆られていて、余裕たっぷりの彼に少し苛立ってしまう

身体の熱さも、惚ける頭も、何もかもがピークに達した勢いで

こんなにも自分の考えていることが
悩みを抱えていることが
嘘をついているのがわかるのならば

もうこの恋心もバレて仕舞えばいいと
いつもは謙虚に、慎重に、行動する旭も、良し悪しがわからなくなっていて

続→←続



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設定タグ:プロ野球 , オリックス   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:過眠 | 作成日時:2024年1月10日 21時

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