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『廣岡さんが、わからないから。廣岡さんを、嫌いになりそうな自分が嫌で、』



どうにでもなってしまえと、自分の意思、感情が、つらつらと言葉に出る



「どんだけ自分のこと責めるん、お前」

『廣岡さんは悪くないと思う、僕が、悪いと思う、』

「廣岡って言うんやめて」



彼が名前に拘るのは、何故なのだろうか
嫌われないために、できるだけ人と距離を取る旭は
どんな先輩に対しても、苗字でしか呼ばなかった



「名前。名前呼んでって」

『なんで、』



この会話が、好き同士であれば、恋人同士であればどれだけ良かっただろうか



『もう、いいです』



涙を雑に袖でぬぐい、大きく深呼吸をし、目の前の彼を、少し見上げた

こんなに真剣に涙を流している自分が馬鹿馬鹿しく思え、旭は乾いた笑いが出る

塩分の濃い涙を流し、目元は熱を持っていた
ぐしゃぐしゃな泣き顔を見られてしまっては、もう全てどうでも良くなるもので

彼に対して怒りも何もなく、ただ呆れの感情だけが沸々とする



『僕と、廣岡さん。は、合いません』



彼がいくら名前で呼んでと言っても、意地でも名前で呼ばないでいてやる
そんな対抗心を燃やしながら、自身の運命を恨んだ



『人間、死ぬまでには1人くらい、ここまで合わない人に出会うでしょうね』



自分のことを嫌う2割の中の人間の、その中でも、彼はとびきり珍しい人間だろう



『なんで同じチームなんでしょうかね。他人だったら、殴ってましたよ』



ズ、と鼻を啜り、未だ呆然とする廣岡を睨む



「旭のこと好きって言うたら、俺だけ見てくれる、?」

『はい…?』



顔を顰めるようなぎこちない笑顔を浮かべる彼
旭は今日、廣岡の口角が初めて吊り上がるのを見た

続→←続



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設定タグ:プロ野球 , オリックス   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:過眠 | 作成日時:2024年1月10日 21時

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