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Bs30...male ページ21

「廣岡さん知りません?」



何も用事がなく、旭は自分の部屋に戻ろうとしていた
けれども、そんな彼を見つけて少し駆け足で近づいてきた職員が、旭にそう呼びかける

職員よりも廣岡のことをよく知る旭はすぐに、あの場所だろうなと見当が付いた



『ちょっと待っててくださいね』



職員にそう伝え、その場所に向かう

そこには旭の予想通り、陽の当たる窓際に座り、猫のように眠っている廣岡がいた

昼頃の暖かい陽の光は心地よく、それが丁度良く当たるこの窓際は、いつの間にか廣岡の特等席になっている



『廣岡さん!』



起こすのも申し訳ないが、急な用事ならば彼を起こさなければと、旭は廣岡にをかける

けれども彼は本当に眠りに入っているのか、ビクともしない



『廣岡さん、』



そんな彼に不安になりながらも、もう一度名前を呼んでも、まだ聞こえていないようで

叩いて起こすのも申し訳ない
次呼んでみてもまだ彼が眠っていれば、彼を探している職員に謝りに行こうと



『...大志さん?』



三度目の正直として、旭が恐る恐る彼の名前を呼ぶと
廣岡は飛び起きるかのように顔を上げ、旭の方を振り向いた

数秒前まで一切身体を動かさなかったのに、動きが俊敏な彼に、旭は少し身体をを引いてしまう

旭の方に振り向き、黙ったままの廣岡に



『あの、職員の方が、廣岡さんを探してましたよ。すぐそこにいますから』



旭が優しくそう言うと、反対に彼は不機嫌そうな顔をし



「わかった」



と、旭に礼も言わずに席を立ち、その場を去った

こちらに振り向く事もない彼を、旭は不思議に感じる

眠りを起こされたからなのか
不機嫌な彼に圧倒され、旭はその場を動けず
なんとなく、彼が今まで座っていた席に座った



何故なのか、彼に何かしたのかと辿っても、特にこれといったエピソードは思いつかない



人間は基本的に2割の人には何をしても嫌われてしまうらしい
ただ彼が、その2割の中の1人なだけなのかもしれない

自身は彼のことを、恋愛感情はなくとも先輩として、人として好きであるのに
そんな彼に偶然にも嫌われてしまっている事実は少し受け入れられない

けれども彼とは勝利を目指し、関わっていかなければいけないわけで
先のことを考え、少し動悸が早まり、神経質な性格が嫌になる

自分を落ち着かせるために深呼吸をしていると
誰かの大きく暖かな両手で、旭は後ろから視界を塞がれた

続→←続



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設定タグ:プロ野球 , オリックス   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:過眠 | 作成日時:2024年1月10日 21時

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