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Bs67...male ページ17

平日の明るい時間、冬の時期はいくら着込んでも、露出する耳や目元は冷えてしまう
旭は室内で十分に体を温めた後、出勤の準備を整えた

誰かいないかとベンチを覗くように見ると
誰もいないベンチには座らず、両腕を組んで寒さを我慢し、グラウンドをじっと見ている中川を見つける



『圭太さん!』



挨拶よりも先に、後ろから彼の名前を叫ぶ旭
大好きな先輩を見つけた時の喜びは、旭の声にうまく乗り、グラウンドに聞こえるまでにその声を響かせた

朝は静かな室内や廊下での挨拶ぐらいで、声をあまり出していない旭は
嬉しさで声のボリュームを間違えたと少し恥ずかしくなりながらも、中川の隣に駆け寄る

けれども中川はそんな旭の大声に驚くこともなく、振り向いた後



「おー、旭」



彼の名前を呼び、また前を向く
そして、グラウンドを再度睨むようにじっと眺めた



『おはようございます、寒いですね…』



挨拶を忘れていたことに気づいた旭は、世間話とくっつけて、こちらを見て笑いかけることもなかった中川に話しかけながら、彼の横に並ぶ



「おはよう。うん、寒い」



寒さのせいか、自身の横に立つ旭の方にまた顔だけを振り向かせた後挨拶を返し、世間話に答えた

人の顔色を気にする面もある旭は、笑顔を見せない中川のことを少し気になりながらも、寒さのせいかもしれない、朝だからかもしれないと漠然と思い、それ以上は気にしなかった

けれども話のネタもなく、自身の体はまだ温まっているが、後中数分長く居れば、旭の体は中川と同じく凍え切ってしまいそうで

特にやることもなく、再び室内に戻って今日の予定をしっかりと練り上げようかと、早くこの場を去ることができる理由を考えていた時

中川は組んでいた腕を解き、上まで閉めていたアウターのジッパーを指先で摘み、うんと上まで上げ、白い息を吐きながら鼻までうずめた
自分と違い、とてつもなく寒そうにする中川に少し同情の念を駆られていると



「旭ってさ、よく山下とか慰めてるやんか」



気まずさを断ち切るように、中川が話をし始める



『あー…そうですね』



最近も、拗ねる山下のことを慰めた記憶があったことを思い出しながら、旭も答えた



『あの子よう泣くし』

「ふは、泣くって」



泣く程かと思う様な出来事でも、すぐに丸めた手で目元や顔を覆う山下のことを
旭は泣き虫だなと思いながらも、最近二十歳になった彼のことは、旭にとっては子供同然で

続→←続



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設定タグ:プロ野球 , オリックス   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:過眠 | 作成日時:2024年1月10日 21時

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