虚言3(短編集) (ページ1)

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YG22...male ページ1

心配性で自責思考な旭は
考えすぎで休まらず重要なことを考える隙がないが故に起こるミスも
練習でのミスも、全てを毎分思い出してしまい
自分がこんな人間だから
自分がダメだからと、責めてしまう

そんな彼のメンタルには波があり、今日も練習があるにも関わらず、その波は去ってはくれない
むしろ高波の様で

ロッカールームで着替えもせず、誰かが今まで使ったことがあるのかもわからないパイプ椅子を壁側から引きずり、組み立て、座り込んだ

練習で体力も精神も酷使した旭
だが、脳や目は覚醒し、瞬きもせず、思考は止まる

十数秒ほどすると、彼も我にかえったようで

『あー、今日はおしまい、全部。ゆっくりした方がいいんだろうなぁ』

自分に言い聞かせる様に、誰も聞いていないと思い込み、わざとらしく声に出す

『疲れた疲れた、』

おちゃらけた様な言い方で、ゆっくりとパイプ椅子から立ち上がった時
同時にロッカールームに入ってきた小林には、彼の声は聞こえていた

「まだ若いんやから」

自分だけだと思っていたロッカールーム
急に入ってきた小林の声に
旭は反射的に、勢いよく振り向いた

『びっくりした…』

一気に、一瞬目が覚めた様な気がする
胸を撫で下ろす仕草を見せた旭

「疲れたって、お前…わがままかぁ？」

少し眠そうな目で自身を見つめる旭に、小林は口角をあげた

自身よりも一回りほど歳下な旭を、小林はまるで高校生の様に思っている
年を食いすぎているわけでもないのに

小林は自分を少し卑下すると同時に、旭を揶揄った
いつもなら

確かに誠司さんよりも若いですけど、そんなことないですよ！

と少し強気な言い方で、可愛らしく怒る旭を揶揄っているが
いつもとはまるで変わって

『…違います、』

そう、掠れる声で呟く彼に

「どうしたん」

純粋な気持ちで声をかけざるを得なかった

『なんか最近、うまくいかなくて、何も。やる気だって、起きなくて』

そうぽつぽつと、心のうちを話す旭