続 ページ39
「えっ、」
なぜ泣きそうになっているのかと考えているうちに
旭も涙が流れることを我慢しようと、必死に口から震える様に呼吸をした
お互いが握っている手に力が入る
旭が深呼吸を続けて涙が流れるのも阻止することができ、落ち着いた頃には、二人の手の間には熱が籠り、どちらのかわからない汗が滲んでいた
だが、そんなことがどうでも良くなるかの様に、佐々木は彼の泣きそうな表情も無意識に脳に焼き付けていた
『はぁｯ…はーっ…ごめんなさい、なんか、』
涙を堪えるために下唇を噛み、少し唾液で艶る彼の唇に目がいってしまう
だがそれは悪い下心かもしれないと感じ、彼の目にまた、佐々木は視線を移した
『まっすぐこんなに、好きって言われること、なくて、』
『今、すごく緊張してるから、すごく、響いたのかもしれません、』
その言葉に佐々木はまた
彼の心は本当に繊細なんだと感じる
旭は自身のことを何も知らないかもしれないのに
拙い好意を伝えると、彼の情緒が弱っているところに無意識に漬け込んだせいでもあったが、
それに心を揺り動かされ、泣いてしまうなんて
「そっか、ほんと旭くんって、優しいね」
『そんなことないですよ、』
『でも、ありがとうございます』
謙遜しながらも、他者の褒め言葉を無碍にはせず、素直に受け止めるところにもまた、感銘を受ける
弱く、強く、魅力的な彼に、佐々木は心を振り回されてばかりで
もう今日の結果がどうであれなんでもいい
お互い全力を尽くせばいい
今日の出来事で彼とは確実に距離が近づいただろう
彼の弱みに漬け込んで、愛を伝えて、彼の気持ちを自身に無理矢理にでも傾けてしまえたらそれでいいかと
少し下衆なことを考えながら、佐々木は汗ばみながらも握り続けていたお互いの手を離し
「今日、がんばろうね」
そう伝えた後、旭の口角が少し上がったのを目視し、立ち上がる
『はい、頑張りましょう』
自身が立つことで、旭は佐々木と出会った時の様にまた、彼を見上げる形になる
まだ涙声が残ったか細い声で、旭は互いの健闘を祈るように答えた
佐々木はまだ旭に言いたいことは沢山あれど、今じゃないと考えて、彼に背を向け、今までの十数分の出来事を反芻しながら、彼の側を後にした。
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過眠(プロフ) - 凛さん» ぎゃ❗️ありがとうございます❗️長編にしようと思っているのでよければ楽しみにしていてください❣️ (11月27日 22時) (
レス) id: 4e02012d1f (このIDを非表示/違反報告)
凛 - Bs6＆Bs67のお話狂おしい程好きです! (11月26日 13時) (レス) id: c2c2ad41a8 (このIDを非表示/違反報告)
過眠(プロフ) - りりりさん» コメントありがとうございます😭❣️もしかしたらいつか書くかもしれません、🤭応援ありがとうございます励みになります😢❣️ (11月22日 9時) (レス) id: 4e02012d1f (このIDを非表示/違反報告)
りりり(プロフ) - 6さんと67さんのお話だけでもう作品作っていただきたいくらい好きです！応援してます！ (11月21日 19時) (レス) @page14 id: 724b4ec6c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：過眠 | 作成日時：2023年11月3日 11時
