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ページ36

『佐々木、朗希さん』



未だ彼に圧倒されるが、目の前にいる彼自身を再確認する様に名前を口に出す



「うん、正解」



自身の言葉にそう言って笑う彼は



「朗希でいいよ」



と、初めての会話から作られた壁をいとも容易く壊そうとした



『いや、それは、』



プロとしても年齢で考えても、技術で考えても先輩の彼に呼び捨てなどできない



「全然いいのに」



少し寂しそうな面持ちの彼に負けない様



『朗希さんって呼びますね』



と、少し踏み込みながらも、一線を引いた



「うん、」



そう緩く口角を上げる彼を見、会話がひと段落する
さて、彼の呼び名は決まったがどうしようかと考えていると



「横座っていい?」



またも彼は自身との距離を縮めようとした

一人になりたかったのだけれど
先輩である彼を突き放せないと



『是非、!』



あたかも隣に来てほしいかの様に、社交辞令を口走る



「失礼します」



丁寧に、自身の横に座ろうとしゃがむ彼を見、開脚をしている脚を閉じた
自身の横に座る彼と同じ様に、旭も縮こまる様に三角座りをする



肩と肩が触れ合いそうな程に近く
ときめきというよりも緊張と申し訳なさが思考を襲った

そしてまた忙しなく回る旭の脳内には
先発という文字が駆け巡る



緊張に弱い旭は、瞬時に自律神経が乱れ
腹痛や吐き気、寒気、手の震えに襲われた

旭の異常さに気づいた佐々木も



「どうしたの?」



と、先輩として、優しく声をかける



『緊張で、手、震えて、』



唸りながら、詰まりながら、両手を目の前に持っていく

彼の小さな手は緊張と動悸のせいか、ふるふると細かく震えていた

そんな自身の手を見つめながら、少し苦しそうに喋る旭に



「俺の手握る?」



彼は自身よりもうんと大きい手を目一杯開き、こちらに差し出した

少し戸惑い、握るなんて烏滸がましいと、震える手の指先を、そっと彼の手のひらに乗せる

旭は顔色を窺うように、佐々木を見上げると

彼は少し笑いながら首を横に振り、自身の手首を掴んだ



「手、開いて」



彼の言う通り、彼のように、手首を優しく掴まれたまま、目一杯5本の指を広げる

佐々木は旭の手を操作し、お互いの指が交互になるように重ね、彼は恋人繋ぎのように、旭の手を握った

自身の手の甲に彼の白くて細長い指が重なり
何が起きたのかと困惑するが



握らないの?



とでもいうように彼に目を見つめられる

続→←M17...male



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設定タグ:プロ野球 , オリックス   
作品ジャンル:恋愛
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過眠(プロフ) - 凛さん» ぎゃ❗️ありがとうございます❗️長編にしようと思っているのでよければ楽しみにしていてください❣️ (11月27日 22時) (レス) id: 4e02012d1f (このIDを非表示/違反報告)
- Bs6&Bs67のお話狂おしい程好きです! (11月26日 13時) (レス) id: c2c2ad41a8 (このIDを非表示/違反報告)
過眠(プロフ) - りりりさん» コメントありがとうございます😭❣️もしかしたらいつか書くかもしれません、🤭応援ありがとうございます励みになります😢❣️ (11月22日 9時) (レス) id: 4e02012d1f (このIDを非表示/違反報告)
りりり(プロフ) - 6さんと67さんのお話だけでもう作品作っていただきたいくらい好きです!応援してます! (11月21日 19時) (レス) @page14 id: 724b4ec6c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:過眠 | 作成日時:2023年11月3日 11時

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