青い月_僕の願いをその光に変えて...

26 . Daiki ページ26

大貴side





山田との出会いは俺の人生を変えた。

今でもあの時のことはよく覚えている。



小学校に入学してまもない頃、俺はいじめにあっていた。

原因は…人と違うから。


俺は生まれつき右目が見えない

そのせいか内気でとっつきにくい性格で。

幼稚園の頃からクラスの人や、先生までみんな俺を避けていた

だからいつもひとりで本を読んでいたっけ。


でも山田だけは違ったんだ。


ある日の放課後、主犯の男子達に連れられて校舎裏の暗いところに来た。

この頃はもう、ここで暴言を吐かれて暴力を振るわれる

それが日常になっていて抵抗する気すら失せていた。


また今日も…なんて思いながらされるがままにしていると

「やめなよ…！！」

って声が聞こえてきて


それが山田だったんだ。

当時の山田は学校で一切喋らなくて、かなり浮いている存在だった。

だから驚いたんだけど…さらに衝撃を受けたことがあって


突然山田が倒れたんだ。

まだ小1だったし、それを見て怖くなったのか、いじめっ子達は逃げるようにその場を去っていった。

大貴「ちょっと…涼介くん、大丈夫？」

涼介「やめて…ぼく…なまぇ……」

山田はとても怯えていて。

当時の俺は、その言葉が意味することを理解できていなかった。

でもとにかく名前で呼ばれることに抵抗があるんだなってことは伝わってきて。

大貴「分かった。もう大丈夫だからね？山田。」

涼介「ごめ…あっ…」

すると山田が気まずそーにこちらを見てきたから。

大貴「俺は大丈夫だから。こんなの慣れてるし。」

って答えてみたんだけど。


涼介「だめ…痛みに慣れたら…もう笑えなくなる。」

あの時の山田の目は、まるで何も映していないみたいに光を失っていて。

いじめなんかより、何倍も恐怖を感じたことを今でも鮮明に覚えている。

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