青い月_僕の願いをその光に変えて...

19 . ごめん ページ19

慧side




涼介「おそい...」

涼介くんは酷く怯えていて。

慧「ごめん…遅くなって。もう大丈夫…」

そう言って安心させようと涼介くんの頭に手を置こうとした途端、その手は彼によってはじかれた。

涼介「いやっ...やめ...て...来ないで！！」

明らかに拒絶された。

涼介「あっ…」

何か言葉を発したかと思えば、涼介くんは崩れ落ちるように床に倒れ込んでしまった。

慧「ちょっ...涼介くん...涼介くん！」


涼介「...はぁっ...はぁ...ごめん...なさい...」

涼介くんの呼吸は安定していなくて。

頭を強く抑えながら、ずっと誰かに謝り続けている


「あなたが慧さんですか？」

どこから聞こえたかと思えば、涼介くんのもう片方の手をよく見るとスマホが握られてて。

画面は通話中のままだった。

「俺、有岡っていいます。山田の幼馴染です」

大貴「今はとにかく落ち着かせて下さい」

慧「分かりました」

俺も昔過呼吸を起こしたことがあったから、対処法は一応頭に入っている。

慧「涼介くん、まずゆっくり呼吸しよっか。俺の方見て。」

さっきから遠くを見つめている瞳を覗き込み、しっかりと目を見て話す。

体に触れられることに強い警戒心があるみたいだから、ゆっくり、落ち着いた声を意識して。

20 . 俺が守る→←18 . 俺の存在

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す