青い月_僕の願いをその光に変えて...

11 . 再会 ページ11

慧side



「こちらへおかけください。」

慧「あ！薮だぁお久しぶりです。」

薮「元気にしてたか？」

慧「お陰様で。」

薮は俺の元担当医だった精神科医。

年齢も近かった方だから、お互い呼び捨ての仲。

俺は昔、声が出せない病気《心因性失声症》だった。

その時に治療をしてくれたおかげで、俺は今声が出せている。

薮「で、今日はどうした？そちらの子は？」

慧「涼介くん。一緒に暮らすことになったの。」


薮「は？まぁ詳しいことは後で。」

薮「涼介くん、こんにちは。担当の薮です。」

笑うと目がなくなるところ。昔っから変わってないな...とか思いつつ。

薮「声は出せる？」

ﾌﾙﾌﾙと首を横に振り拳を強く握っている涼介くん。

薮「緊張してるのかな？」

薮「じゃあ筆談にしようか。」

あれから数分間検査らしき質疑応答を続け、結果を待つことに。

慧「全然大丈夫だったでしょ？」

控えめにｺｸﾘと頷く涼介くん。


看護師の方に呼ばれて、さっきとは違う部屋に。

薮「涼介くんは、吃音症である可能性が高い。」

慧「きつおん？」

薮「しかも涼介くんの場合、最終段階の第4層まで進んでいる。幼児期に発病したのなら自然と治るケースが大多数なんだけど...」

慧「治るの？」

薮「ここまで進んでしまったら、しっかり訓練をしないと治る可能性はない。」


きっぱりと言われると、意外とくるな...。

薮「でも安心して。これから週一回、通院してもらって訓練しよう。」

涼介くんはと言うと、頭の上に大きなハテナが浮かんでいる。

まだ状況が飲み込めていないのだろう。

ここは吃音治療に対応する全国でも数少ない病院だというからきっと大丈夫だ。



終わった頃にはすっかり茜色に染まる空。

慧「スーパー寄ってこっか。」

今日1日、本当にいろいろあったけどまだ一日。

これからどんな毎日が待っているのかな。


こんなこと言っちゃ不謹慎かもしれないけど

涼介くんが可愛い。大切にしたい。

そう思える人にやっと出逢えた。

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