この春、恋をはじめます。【Fischer's】

先輩39 ページ40

一学期最終日の放課後、私は先輩より早く部室にいた。

写真整理をしているんだけど、気分は晴れない、
…だって、



A「…先輩に会えないいっ、」


そう、休みは嬉しい。でも先輩に会えないのはやだ。


まあ、いくら嘆いたところで夏休みはくるんだけど…



A「…会えないの、不安だなあ、」



どうしよ、夏休みが終わって会ったら、彼女できましたとか言われるかも。

格好良い先輩だ、簡単に彼女なんてできてしまう。


正直泣きそう、と机に突っ伏すとタイミング悪く、



マサイ「あ、Aちゃん。」



部室の扉が開くと共に先輩がひょっこり顔を出す、



･･･うん、格好良い。いつ見ても。




マサイ「どしたの、元気ないな、」



鈍感なのか敏感なのかよくわからないけど、心配してくれるだけで後輩は嬉しいです。




A「…いや、夏休みだなあと思いまして…。」
マサイ「うれしくねえの？」
A「…部活が楽しくて、」





先輩に会えないのが寂しいとはいえなかったけど、我ながらなかなかに攻めた。


ちらり先輩の顔を見ると、大きな瞳を少し丸くして吹き出した。




A「えっ、わ、笑わないでくださいよう…」
マサイ「ふはっ、いや、なんか可愛くてさ、」




さりげない可愛いって言葉に、またキュンとする。


そんな私を他所に、先輩はちょっと間を置いて、




マサイ「夏休み、2人でどっか行こうか。」
A「…へ、」



開いた窓から訪れる初夏を思わせる風が、私の頬を撫でる。

目の前には、悪戯に笑う先輩。




…なんだか、いつもより楽しい夏休みになりそうな予感がして、密かに私の胸は高鳴っていた。








＿＿＿＿＿＿ 続編へ続く 。

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