終わりなど無い (ページ3)

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昔のお話ページ3

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夜叉の大将と、心の優しい人間の儚いお話。

彼らはある魔人に忠誠を誓う、

その魔神の名はモラクス。

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人の子が生きていたのは奇跡だったのだろう。

人の子は名前といい大きな川の近くにある村に住んでいた。

まだ赤子で、言葉も喋れないほどだったが、親に捨てられてしまった。

村では飢餓が続いていて口減らしのためだったのだ。

最後の親の温情か、名前の書いた布切れを巻いて、壊れにくい木の小舟にのせられ、川に流れた。

途中、岩にぶつかってひっくり返りそうになったり、激しく揺れる小舟のせいで川に投げ出されそうにもなった。

そして海へと出た時にとある魔神が、赤子を小舟から丁寧にすくい上げた。

可哀想で、興味があった程度のきまぐれだったのだろう。

魔神は赤ん坊を同胞たちと共に育てた。

赤子の名は

泊

その子はとても美しく、今にも水に溶け、消えてしまいそうな子であった。

赤子はモラクスによく懐き、大きく成長して行った。

美しい腰のある黒髪に、白い肌に影を落とすほどのまつ毛、通った鼻筋、そして

一際目立つ、光を放っているかのように輝く夜泊石色の瞳。

名前が、14になりたてか、それ以下かの年にモラクスは1人の夜叉を紹介した。

夜叉の名は魈、少しぶっきらぼうだが優しい夜叉だった。

名前は魈に話しかけた。また、魈も泊に答えた

「あぁ、」や「ふんっ」

そんな答えになっていないものでも同年代ほどの見た目の魈が返してくれるものは泊にとって全て嬉しいものだった。

また魈も、泊が話しかけてくれることが日常となり、

魔物が居ない時など、後ろに泊がいることは当たり前になっていたのだ。

だが、同時に恐れた。

もし魔物がいたら、

魔神がいたら、

業障の影響はどうなるのか、

我が暴走してしまったら、

考えてしまうとキリがない。

そうなると自然と避けたり、簡素な返事になってしまうのだ。

それは仕方がないことではあるが、魈は泊以上にその事を気にしていた。

。