ポジティブ・パレード【skt】

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　何かを吐き出したいと思った時、電話する相手が誰も思い浮かばなかったことに気づいたのはいつだっただろうか。そんな事実に泣きそうになった。でも、友達がいない訳では無い。迷惑かもしれないと考えたら誰も残らなかった。気の置けない友人なんていなかった。ただ、それだけ。いつからか、大人になるにつれてそういう相手は少なくなっていった。でも、1人だけいるとするならば​─────
　
　
　
　



　『……さかたん』
　
　


　
　思わず彼の名前が零れた。メッセージアプリから彼の名前を探し出しタップする。ここで、会いたいと言ってしまえばきっと彼は来てくれるだろう。でも、それでいいんだろうか。会いたいと4文字を綴ってはみたけれど、彼は忙しいからきっと迷惑だ。だから、そっとその四文字を無かったことにしようとした。
　



　
　
　『……え、』




　
　
　しかし、誤って削除ボタンではなく送信ボタンを押してしまっていた。よくあるミス、どうして今やるんだろうかと頭を抱えた。けれど、このアプリには送信取り消しが出来る。それさえすれば関係ない話だ。慌てて取り消してベットにスマホを放り投げた。
　
　

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