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無理だろうと半ば諦めていたのに、何度見返しても目に映るのは当選の文字で。今発表されるのはこれからの座席で。
｢1階席の16列目……｣
そう思わず呟いてしまい、はっと口を閉じた。今度は口には出さないように目を走らせる。あの辺なら志麻さん列では？と気づいてしまった。でも、まぁ会場が小さいわけじゃないからそんなに前ってほどでもないし大丈夫。見つかるわけない。ていうか、リスナーと歌い手でいようって言ったんだから別に私悪くないじゃん？
そう、私は悪くない。うん。
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ライブが終わり、終了のアナウンスが聞こえる中、1人で立ちつくしていた。ぼーっとスモークでぼやけるステージを見つめた。
｢良かったなぁ、ライブ｣
そう呟きながら彼の姿を思い出す。たまには1人のライブ参戦もいいなとにこにこしているとスタッフの方に声をかけられた。
｢すみません、退場の方お願いします｣
その言葉にばっとまわりを見渡すともう人もまばらで数えられるほどしか残っていなかった。
｢すみません！すぐ出ます！｣
そう言いぺこぺこと何度も頭を下げ、適当に荷物を引っ付かみ会場の外へと駆け出した。慌てて出てきたせいか紅潮した頬にひんやりとした風が心地良い。少し会場を見渡し、後にしようとしたところぐっと腕が引っ張られた。驚き振り返ると先程までステージの上に立っていた彼が居た。
｢し、志麻さっ……！｣
しかし彼の名前を言い終わる前にその彼の手で口を塞がれた。しーー、と彼が私の口から手を離し自身の口の前で人差し指を立てた。それにこくりと頷くと、彼が微笑んだ。いい子、とあの時言われたようにまた言われたような気がして落ち着いたはずの頬がまた紅潮する。そんな私に彼はぽん、と頭を叩いて手を引いた。どこに行くかなんて聞けなかった。ダメだともいえなかった。ダメなのはわかっているのに。ファンと歌い手じゃなきゃいけないのに。
どうして、
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