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まふまふside
「すみません、お花をプレゼントしたいんですが」
人生初めて花屋というものに来た。華やかな花たちが並んでいる空間にそぐわない僕がそうおずおずと尋ねると花屋の人は生ぬるいような笑みを浮かべた。
「彼女さんへのプレゼントですか?」
「……まぁ、そんなところです」
今はまだ違うのでそんな店員の言葉に笑みを浮かべながら濁した言葉を告げた。すると、その人はやけに張り切ったような気合を入れた表情になって薔薇やチューリップやガーベラやら聞いてもいないのに次々のおすすめの花たちを指さした。
「えっと、そういうのじゃなくて」
困ったような笑みを浮かべて見せ、そんな言葉で店員の饒舌を遮ると、その人は驚いたように数回瞬きをした。
「彼岸花を送りたいんです」
「……彼岸花、ですか。花言葉は情熱的なの物がありますが世間的に彼岸花はあまり良いイメージが持たれてないお花ですが本当によろしいですか?」
おずおずと不安げな瞳で問われる言葉にニコリと笑みを浮かべた。
「彼岸花が、いいんです」
───────
─────
───
「よし、」
買ってきた彼岸花を靴棚の上に乗せてそう呟く。この子は彼女が帰ってくるであろう昼間まではここで待機かな、と考えてから不意にそらるさんの言葉を思い出す。
” そーだ、まふまふ。俺、まふまふのマンションに引っ越すことになった ”
思わず は?といつもより低い声を出してしまったのを覚えている。その後部屋番号を尋ねると運の悪いことに彼女の隣の部屋だった。そらるさんの声が好きだと言っていた彼女に顔を合わされてしまうのはたまったもんじゃない。今すぐにでもその契約を白紙にしてもらいたかったがもうそういう訳にも行かないそうで。ならば最近引っ越そうかと考えているのかよく物件探しをしている彼女を引越しさせる方が早いと思った。なので、今日はあんなことを決行した。そらるさんを好きになっては困るから。案の定彼女は怯えた表情を浮かべていた。きっと、引越しを決めるのは時間の問題だ。
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潮田 陽菜(プロフ) - まぬんさん» 本編の方も読んで頂きありがとうございますm(*_ _)mまさかと思って頂けて幸いです!!そらるさんverの制作予定は今のところないのですが頑張ってみます!リクエストありがとうございました!! (2020年7月8日 13時) (レス) id: 71e4183107 (このIDを非表示/違反報告)
まぬん(プロフ) - 本編の方(完結した方)読ませて頂きました!!最後の展開が「まさかの?!」的な感じでゾクゾクしました、、!よければこのそらるさんverが見たいです…! (2020年7月7日 23時) (レス) id: d24847e3a9 (このIDを非表示/違反報告)
潮田 陽菜(プロフ) - はっかさん» Another storyも読んで頂いてありがとうございます(><)綺麗だなんて本当に恐れ多いですがそう言って頂けて嬉しいです。更新頑張りますので何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m (2020年6月30日 13時) (レス) id: 71e4183107 (このIDを非表示/違反報告)
はっか(プロフ) - 新作ありがとうございます〜!!まさかのAnotherstoryが読めるなんて!!!嬉しい限りです!!やっぱり潮田さんの文めちゃくちゃ綺麗で思わずお話にのめり込んでしまう・・・。くれぐれもご無理はなさらず更新頑張ってください〜!応援してます! (2020年6月29日 20時) (レス) id: ab76ab0808 (このIDを非表示/違反報告)
潮田 陽菜(プロフ) - あかりさん» 好きだと言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます(><)まだまだヤンデレは勉強中ですがそう言っていただけて嬉しいです。更新頑張りますので何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m (2020年6月29日 20時) (レス) id: 71e4183107 (このIDを非表示/違反報告)
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