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Aside
2人、何も言わずに手を繋ぐ。それは、暖かくて。何だか、嬉しくて堪らなくて、頬にまた涙が伝う。
『ごめんね』
そっと、背中に投げかけた言葉。彼はそれに反応せず、足を進めていく。そして、部屋に招かれた。すると、座るように促され、不思議に思いながら、台所に消えた彼を待つ。
「はい」
そう言って、渡されたのは、オレオのアイス。好きって言ってたのはだいぶ昔。それなのに覚えてくれていたのが嬉しくて、胸が暖かくなる。
『ありがとう』
小さく、お礼を言って蓋を開ける。大雑把に砕かれたオレオとバニラアイス。前食べた味が、食べてもいないのに口の中に広がる。1口、頬張る。幸せの味だ。
─────彼も、これが好きだった。
よく、二人で一緒に食べていた。二人で勉強したあと。遊んだあと。常に、夏の思い出と共にこのアイスが主張していた。だから、きっと私の初恋は、オレオの味だ。可愛くも、何ともないけれど。でも、それを思い出したら、何だか涙が零れてしまって、それに気づいた彼は、私を心配そうに見つめる。それが、いたたまれなくて、明るい声を出した。
『美味しいね、このアイス』
「A」
『私、このアイスが好きだって覚えてたの？凄いね、そらるさん。もう何年か前の話なのに。あとさ、これって高いやつだよね』
「A……」
『食べたの久しぶりだから、嬉しいな。今は、体重とか気にしちゃうからあんまり食べないようにしてるんだよね。あとね……』
「Aっ……！」
大きな声で呼ばれ、私は口を噤んだ。そして、彼は私を泣きそうな顔で見つめる。なんで、君がそんな顔をするの？
「もう、いいから」
何も言わないで、とでも言うかのように強く、強く抱き締められた。
『……ごめん、ごめんねっ』
縋るように、抱きついた。彼も辛いはずなのに、甘えてしまう自分が情けない。
『……私っ、思ったよりも好きみたい』
ポツリ、そんな言葉が零れた。諦めようと何度も思うのに、その度に楽しい思い出が蘇る。なんて残酷な頭なのだろう。さっさと、忘れればいいのに。
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潮田 陽菜(プロフ) - ろあ。さん» 歌のような恋、とても素敵な表現ありがとうございます(*^^*)そう言って頂けて有難いです。コメントありがとうございましたm(_ _)m (2021年2月26日 1時) (
レス) id: 71e4183107 (このIDを非表示/違反報告)
ろあ。(プロフ) - 歌のような恋ですね。。。なんというか、その、甘酸っぱい感じ？がします！私にはこんな素晴らしいお話書けそうにないのでとっても尊敬してます！ (2021年2月24日 21時) (レス) id: edab8e7c8b (このIDを非表示/違反報告)
潮田 陽菜(プロフ) - トリ@推しキャラたくさんさん» コメントありがとうございます！私的に、そらるさんの感情を書くの、すごく難しくて^^; そう言っていただけて嬉しいです(*^^*)これからもこの作品を宜しくお願いしますm(_ _)m (2018年3月21日 16時) (レス) id: b5c447886f (このIDを非表示/違反報告)
トリ@推しキャラたくさん(プロフ) - コメント失礼します。このお話、すごく感動しました！そらるさんの夢主ちゃんを思う気持ちが切なくて、思わず泣いちゃいました。素敵な作品を書いてくださってありがとうございます！更新頑張って下さい！！ (2018年3月20日 19時) (レス) id: 0fc1208a5a (このIDを非表示/違反報告)
潮田 陽菜(プロフ) - いちごみるくさん» いえいえ、きちんと言ってもらえる方がコチラとしては有難いので(*^^*)皆さんに読みやすいものを提供できるように色々探してきますねっ！これからもこの作品をよろしくお願いしますm(_ _)m (2018年3月10日 17時) (レス) id: b5c447886f (このIDを非表示/違反報告)
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