. ページ7
side Hikaru
阿部に誘われて寄った母校の教室。
卒業以来行ってなかったけど、久しぶりに行ったらあの頃の自分が思い起こされて、
今の立ち位置が何だかとても不思議に感じた。
毎日一瞬で過ぎてく程楽しくて、何でも出来る気がして、
だけど本当は何にも出来なかったあの頃。
今のふっか達と同じ様にダンスに青春全部を捧げて、
仲間達とパフォーマーとして世界を目指すなんて半分冗談みたいなでっかい夢を持ったのも、
現実と向き合ってその夢を封印したのもここだった。
楽しいだけじゃ生きていけない、仕事にならない。
馬鹿ばっかしながらもたまにはちゃんと地に足着けて、
自分のこの世界での冒険はここまでだって一区切り。
趣味で踊りは続けながら、今度はこの時間を生きる後人に何かを残せる人になりたいと教壇を目指した。
今だってまだ叶えきれてない夢の途中、考えるのはあいつらのことばっかで、
窓際一番後ろで外を眺める阿部の横顔が、無意識に翔太に重なる。
入院したとしても一刻も早く退院して、翔太もあの指定席に少しでも長くいて欲しいって、
完全に俺の願望だけど本当のこと。
人生の中でも密度の濃い激動の時代の分、感じた全部が本物ですごく大きいことだって、
それを痛感したから、俺は高校教師になったんだから。
照「ねえ、戻りたいと思う?高校時代。」
阿「戻りたいとは思うよ、楽しかったし。だけど…」
やり直したいとは思わない。
きっぱりはっきり言った阿部と、気持ちは同じ。
あの時間は恋しくもあるけれど、後悔はしないのは今に誇りを持ってこれで良かったと思ってるから。
あいつらにも誇れる未来があって、
そこに勿論翔太もいて欲しい。
その為に一杯色んな経験をする為の時間が、青春なんだろうなって何だからしくないことまで考えた。
照「翔太、テストお疲れ全部頑張った!冬休みになると全体練メインになるから…多少は屋上もありにするから。」
もうすぐ部活にも出られなくなるなら、せめて数日だけでも嬉しそうな翔太の笑顔を宝物として許して欲しい。
だけどそう思ったこの日が、
"おい翔太!翔太っ!!"
"目開けろ!!息しろって!!!!"
"翔太っ!!!!!!"
翔太が学校で部活に出た最期。
数時間前まで宝物だと思った弾ける笑顔を無くしてでも、やり直したくなる程後悔することを、
この時の俺は、まだ知る由も無かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 761人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
riu(プロフ) - こはるさん» コメントありがとうございます。アカウント名が以前のままになっていたので訂正いたしました💦お手数ですが再度フォロリクお願いいたします。 (4月12日 10時) (
レス) id: bbb7377fb4 (このIDを非表示/違反報告)
こはる(プロフ) - 青い鳥、垢検索しても出てこないのですが… (4月11日 21時) (レス) id: f9614fe30c (このIDを非表示/違反報告)
夏海(プロフ) - いつもドキドキしながら読ませていただいています✨ 次の更新も楽しみにしています🥹 (11月19日 3時) (レス) @page11 id: d94f5675d0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りる＆riu x他1人 | 作成日時：2023年9月26日 18時
