隙なんて / 八重樫剣介 ページ41
第三者目線
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片想いの相手と、ついに同じクラスになれた。
高校1年の頃に音楽室でピアノを弾いているのを見られ、度々話す仲になった。
その頃からずっと好きだったけど、同じクラスになったのは高3の今が初めて。
少しでも近づこうと同じ委員会をしたり、出来るだけ積極的に話しかけたりと頑張っているつもりだ。
友達にも協力してもらってバレンタインにチョコを渡したら、私だけみんなと違うお返しをもらえたりもした。
そんなことされたら期待してしまう。
社会の授業で各班で調べ学習をして、それをみんなの前で発表することになった。
私は八重樫くんと同じ班。
「ここはこの方がいいかな?」
剣「んー、こっちの方がまとまるんじゃね?」
話に集中していたらいつの間にか八重樫くんの顔が目の前に。
剣「あっ…ご、ごめん!!!」
「わ、私もごめんね…!」
一瞬目が合って、お互い驚いて離れる。
「あれー?お二人さん距離近くないですかー?」
「お前、誰にでも優しいけど特にコイツには優しくね?」
「もしかして、好きだったりしてー!」
クラス中からからかわれ、恥ずかしいけど少し喜んでいる自分。
剣「だー!もう!そもそも俺、彼女いるし!!」
教室が静まり返る。
「へー?その話、詳しく聞かせろよな?」
剣「…あ、」
「誰なんだよ?その彼女って」
剣「っ、Aのことは誰にも教えない!!」
しまったという顔をする八重樫くん。
「Aって聞いたことあるような…?」
「一個下の学年で、可愛いって噂になってる子じゃない?」
「ケンは年下が好みかー!」
剣「…俺の、幼馴染み」
観念したように話し出した。
小さい頃から一緒にいる、一つ下のAちゃん。
長い間想いを寄せていたけど、最近ようやく付き合えたらしい。
それからわかったことだけど、ずっと両片想いだったそう。
「ホワイトデー、この子にだけみんなと違うのを上げたのは何?」
友達が気を使って聞いてくれている。
でも今はその優しさも痛い。
剣「ああ、いつもお世話になってるからその感謝…みたいな」
そして再び始まった彼女さんの話。
その話の途中、私はそっとその場を離れた。
最初から私が入る隙なんてなかった。
八重樫くんの行動一つ一つに勝手に舞い上がって落ち込んで馬鹿みたい。
でもね、楽しかったの。
私に恋を教えてくれてありがとう。
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支葵美乃 - 今日、初めて読ませていただきました!とても面白かったです。と言うか、作者様は神ですかね…。読んでる最中、軽く50回は悶えましたね…。このような作品を産み出して下さり、マジで有難うございます! (2018年5月30日 22時) (レス) id: 48e064e18b (このIDを非表示/違反報告)
ユリ - るーな。さん» 合格おめでとうございます(*´∀`)私も受験生だったので・・・受かる自信ほとんど無かったんですけど(笑)しばらくはのんびりできますね〜。これからも頑張ってください。 (2018年3月24日 17時) (レス) id: 74019e0afd (このIDを非表示/違反報告)
ゆぴぴ - 合格おめでとうございます!私も受験生だったのでほんとに共感しちゃいました笑これからも頑張ってください! (2018年3月24日 1時) (レス) id: ea9fff37a9 (このIDを非表示/違反報告)
彩夏 - 合格おめでとうございます。これからも愛読します。 (2018年3月23日 17時) (レス) id: cae6157d0a (このIDを非表示/違反報告)
桜姫(プロフ) - 合格おめでとうございます!!!楽しみにしています。頑張ってください! (2018年3月23日 16時) (レス) id: dcbb5b14a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るーな。 | 作成日時:2018年1月27日 8時