ツキウタ。＆ツキプロ [短編集]

〃 ページ15

大きく首を横にふる高岡さん。





高｢えっとね、私、望くんが好き、です…!!｣









…やっぱり。







前に高岡さんのこと可愛いって言ってたことあったし、二人は付き合うんだろうな。








せめてその現場を見たくなくて

二人にバレないようにそっとその場を離れ、裏口から家に帰る。









家に帰ってベッドに倒れ込むと、抑えていた涙が溢れてきた。









それからどれくらい経っただろう。



いつも間にか寝てしまったようで、

インターホンの音で目が覚める。





玄関のドアを開けるとそこに居たのは、





『望…』




驚いた顔の望だった。





望｢Aから、チョコ貰ってないなーって思って来たんだけど…どうしたの…？｣







何で望がそんなに泣きそうなの？







『今年は、望には作ってないから。


だから、帰って』







早く帰って欲しくて冷たい態度をとる。






望｢…いやだ｣






その言葉と同時に手首を引っ張られて

望の腕の中に収まる。







『な、んで…!?』







望｢…好きな子が泣いてるのに、ほっとけるわけないだろ｣







“好きな子”？






『は…？』







状況が読み込めず、驚くばかりの私。






望｢だーかーらー！俺はAが好きなの！！だからAからのチョコが欲しいし泣いてるのもほっとけない！！｣







『で、でも高岡さんから告白されて…』





望｢見てたの！？…断ったよ、Aが好きだから｣






びっりした。


まさか望が、私を好きなんて。






望｢Aは、俺のことどう思ってる？嫌だったら、突き飛ばして｣









そう言うと少し弱くなる腕の力。








『…私も、好き。ずっとずっと、好き』








言えた。









望｢よ、良かったー！！！｣







再びぎゅっと、抱きしめられる。









『…って望！ここ外だから！とりあえず中入って！』







望｢んー｣









『チョコ、いらないの？』








望｢いります！｣








パッと離れた温もりが少し寂しい、なんて思いながら家に入ってチョコを渡す。









望｢んー！うまっ！｣







ソファーに座って美味しそうに頬張る姿に安心して

ココアでもいれようかと立ち上がろうとすると、

腕を引かれて望の膝の上で後ろから抱きしめられる。









望｢…ちょっとだけ、このまま｣









珍しく甘えた表情に、ドキドキ。

いつもと違う / 大原空→←バレンタイン / 七瀬望

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